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建設業からITサービス会社への事業転換:後編
開発の困難を乗り越えて9割のユーザーの活用を実現

株式会社山上建設

  • 代表取締役社長
  • 山上卓也 様

総合建設業を営む山上建設様におけるERPパッケージ開発プロジェクトを振り返る本シリーズ。前回は建設業界向けERPパッケージ「ALL SHARE」の事業立ち上げの背景を紹介した。今回は当社との出会いやその後の開発プロジェクトについて、引き続き同社代表取締役社長の山上氏に伺った。

ビジネスに伴走してもらうイメージが持てたことが一番大きいです。

思うようにいかない社内開発

成長の壁にぶつかった同業者の「売上拡大のための他業種参入」「利益構造の把握」を支援するべく構想されたALL SHARE。当初はシステム開発会社と組むのではなく、自社内ですべて開発しようと考えた。

しかし同社にとってシステム開発は初めての試み。システム開発の進め方が全く分からない状態でのスタートだった。開発は思うようには進まなかったようで「困っていることしかなかったです。」と当時を振り返る。

「困りながらも開発をある程度進めてきたところで、我々がこれを作ってしまってはいけないな、というところにたどり着きました。」

システムの形はできつつあったが、サービスとして展開することを考えると、このまま自社開発を継続することは難しいという判断に至ったのだ。理想をシステムに落とし込むには技術や経験が足りないこと、リリースができたとしてもセキュリティ強化やバグの対応に追われることが目に見えていたことが理由だった。それから開発体制を強化するためにアウトソーシング先探しに舵を切った。

ディマージシェアとの出会いとプロジェクトのリスタート

その後様々なシステム開発会社に相談し、ぜひ一緒にという反応を多くもらったとのことだったが、とある交流会で出会った当社に対して、パートナーとしての好印象を抱いたという。

「ビジネスに伴走してもらう必要があるので、一緒に組んでいるところが想像できる会社さんがいいなと思っていました。そのイメージが一番持てたことが大きいです。」

交流会で当社は山上氏のビジネスプランやその背景にある想いを直接伺い、山上氏が本気で本業の建設業から全く異なるITサービスのビジネスを立ち上げようとしている想いを強く感じた。構想の実現に向けて様々な観点で懸念を当社から投げかけたが、システムの機能構成、リリース後のユーザーサポート、営業・マーケティングや収支計画など、山上氏は既にそれらについて熟考を重ねており、ほぼすべてに回答を持っていたのが印象的であった。

その想いに共感した当社として何か少しでも力になれればと思い、改めて時間をいただき、現状のシステムを見せていただきながら構想の詳細を伺った。そのようなやりとりの中で、当社が単にシステムの完成だけを考えているのではなく、ビジネスの成功まで考えて伴走しようとする姿勢を評価頂き、山上氏から相談を正式に受け、支援に至った。

支援開始後はまずは既に開発されているものの調査から着手した。調査により、機能面やセキュリティ面において、同社のビジネス構想の実現や今後の事業展開に柔軟に耐えられないという結果となった。そのため、要件定義まで遡って仕切り直すこととなった。

親身に課題に向き合う姿勢を評価

リリースまでの開発期間を振り返っての感想をいただくと、「大変でしたが一番印象に残っているのは、弊社とディマージシェアさん、異なる業界のプレイヤーであるからこその共通認識の形成ですね」とのこと。

システム開発において、発注者と開発者の目線合わせはシステムの完成度を左右する重要な要素だ。そのため山上建設には、要望の裏側にある本質的な目的を言語化し、当社に伝えていただく必要があった。システムはあくまでも手段であり、一つ一つの機能には、その実装によって解決したい課題があるはずだ。そうした背景までを言葉にできなければ、当社への適切なオーダーができない。一方で、当社は言語化された山上建設の要望を齟齬なく読み取ることが求められた。そのためには建設業界特有の商慣習や業務フローを理解することも必要だった。特にプロジェクトの開始当初は二社間での密なコミュニケーションを重ねた。

山上建設が一度社内でシステム開発を試みたからこそ共通認識の形成の重要性と難しさを理解していたのだろう。だからこそ同社の課題や要望を適切に読み取り、そして、確実にシステムに落とし込む当社の姿勢を高く評価いただいた。

「弊社の課題に親身になって一緒に考えてくれることがディマージシェアさんの強みだと思います。技術的な観点で見ればどの会社さんでも開発できたのかもしれませんが、実際の現場での使い勝手を意識した弊社のアイデアをどうシステムに反映するか、落としどころを一緒に考えてくれたのがありがたかったです。今後もシステムに対する要望はたくさん出てくるので、この姿勢は引き続きお願いしたいです。」

ユーザーの事業拡大に貢献するシステムに

リリース後のユーザーの反応については、好意的な意見が多く寄せられているとのことだ。「知りたかった情報を簡単に知ることができるようになった」「今まで集約できていなかった帳票が一元管理された」との声が届いていると山上氏は語る。

「ユーザーの皆様にシステムを育ててもらっているような感覚があります。」

システムに対する改善点をはじめとした要望も届いているようだ。システムに馴染みのない建設業界の人でもストレスなく使えることが大切である、そんな想いからシステム開発・販売で終わらずカスタマーサクセスチームを設置し導入後のフォローに力を入れている。このことからも高い利用率に繋がっているようだ。

また、ALL SHAREで解決したい課題の一つであった「他工種への参入障壁の高さ」についてユーザーの反応を伺うと、「全ユーザーのうち9割ほどがALL SHAREで集計している工事原価を参考にして他工種の見積書の作成をしています。」とのこと。早速ユーザーの売上拡大に一役買っており、今後のユーザーの事業成長に期待が高まる。

今後の展望

サービスの提供が開始されたことで、実際の利用状況から、ユーザーとなる企業像や課題感、求められている機能がより鮮明に浮かび上がってきた。当初は想定していなかった新しい活用シーンも見えてきていて、システムの機能やユーザーのサポート体制のブラッシュアップを検討しているという。またALL SHAREがもつデータを基に、将来的にはERPに留まらない多角的なサービスへの展開も視野に入れているとのことだ。

「一社一社の事業拡大により素晴らしい技術を持つ職人さんがより活躍できる、下請けから元請けになれる、そんな環境を作るお力添えができればと思っています。」

事業構想開始から約3年。当時の熱意はまだ衰えることを知らない。今後のALL SHAREの展開をファーストパートナーとして支えていきたい。

会社名
株式会社山上建設
事業
  • 総合建設業

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