店舗の間借りによる新しい開業形態「シェアレストラン」

企業名

株式市場

非上場

創業

2020年

従業員数

資本金

1,000万円

売上高

主な事業

シェアレストラン事業

※2023年12月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 飲食業界は開業率と廃業率がいずれも高い業界
  • 空き時間に店舗を貸したい飲食店と開業希望者のマッチングサービスを開始
  • テストマーケティングや開業前のファン作りにも活用

DXの動機・背景

2022年の中小企業庁の調査によれば、開業率・廃業率の両方が高い水準なのが飲食サービス業だ。これは、新規出店が多い一方で、経営の継続という観点からは成功率が低いことを示している。一般に、小規模の飲食店であっても開業コストは1000万円以上かかると言われている。開業に際して資金を借り入れ、開業後に返済をしていくことが多いが、経営が立ち行かずに廃業し、借金だけが残るケースも珍しくない。

経過・対応・取組内容

吉野家ホールディングスグループの社内ベンチャーからはじまった株式会社シェアレストランは、こうした飲食業の廃業率の高さを解決するために、空きスペースを活用したい飲食店オーナーと、新規の開業希望者をマッチングさせるWebサービス「シェアレストラン」を開始した。開業希望者は、Web上で一覧化された貸しスペースから希望するものを選択し、スペース利用料のみで1か月から借りることができる。 “間借り”という不明瞭な取引形態を整備し、仕組み化に注力している。例えばシェアスペース利用中の第三者に対する損害賠償責任を「シェアレストラン」側で補償する保険を包括契約したり、自社でもスペースを借りる開業希望者に補償プログラムを提供したりと、特に責任範囲については明確化に努めた。

得られた成果

スペースを提供する飲食店オーナーは、営業時間外でも稼ぐ仕組みを作ることができる。個人や少人数の店舗であれば、休暇を作りながらも収入を得られることは、労働環境の改善にも繋がる。他方、スペースを借りる開業希望者にとっては、低コスト・短期で開店できることが最大のメリットだ。本開業前のテストマーケティングとして使ったり、本開業前の資金確保やファンの獲得という助走期間として活用したりすることも可能だ。「シェアレストラン」から始まった店舗のうち、100店舗以上が実店舗を開業しているとのことだ。

編集部コメント

飲食店は薄利多売と言われています。家賃や人件費のような固定費の比重も大きく、資金繰りの難易度が高い業界です。借り手が開業時の初期コストを抑えられることも然ることながら、貸し手に本業以外の収益源を創出する点で、既存の飲食店の生存率に大きく貢献することが、「遊休資産の共有」という観点から生まれたスペースシェアリングとは性質が異なると言えます。店舗シェアリングや近年増加するゴーストレストランのように、場所・時間を捉え直すモデルは、飲食店のあり方を考えるうえで大きなヒントです。

 本記事についての情報提供やご意見・ご指摘等ございましたらこちらのフォームより「その他のお問い合わせ」にてお知らせ頂けますと幸いです。