概要
- 医療用酸素ボンベのレンタル注文電話の受付待ち時間を解消
- AIによる注文電話の自動応対サービスを開設
- 対話履歴をデータ化することで発送までを自動化
DXの動機・背景
在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)は、慢性呼吸不全や慢性心不全などで体内の酸素濃度が一定レベル以下に低下している患者に対し、自宅で医療用酸素ボンベを使用して高濃度の酸素を吸入する治療法である。帝人ヘルスケア株式会社は、このHOTに使用される医療機器の販売及びレンタルを手掛けており、レンタル注文を受け付けるためのコールセンターを運営している。しかし、このコールセンターが平日のみの運営であるため、休日や長期休暇前後に注文が集中し、電話での待機時間が長くなるという問題が発生していた。
経過・対応・取組内容
この問題に対処するため、既存のコールセンターに加え、AIを活用した自動電話応対サービスを解説した。高齢者が多い利用者層を考慮し、Webブラウザやアプリの使用よりも電話での注文が好まれることから、音声合成機能や意図解釈機能を駆使して、従来のコールセンターと同じような体験で注文できるように設計されている。さらに、電話受付だけでなく、企業の顧客管理システムとの連携を通じて、対応履歴をテキストデータに変換し記録することで、注文から発送までのプロセスを自動化している。
得られた成果
オペレーターによる受注対応が平日限定であったのに対し、AIによる自動応対サービスは24時間365日体制で対応可能となり、注文の集中を緩和し、常に注文を受け付けることができるようになった。将来的には、医療用ボンベに限らず、サービスの拡大を検討している。
編集部コメント
本件では、AIによる自動応対という先端技術を用いていながら、利用者層を考慮してあえて電話というチャンネルを選択している点に注目されます。技術の導入や自動化そのものを目的とせず、顧客にとって最良の形から逆算してデジタル技術を活用することが、事業の価値を向上させるうえで重要です。