概要
- 「いつでも建設現場」を合言葉に建設現場を身近にオープンにする取り組み
- 建設現場の情報共有のためのドローン活用と自社でのパイロット育成
- 現場の生産性・効率の向上に加え、顧客満足度の上昇
DXの動機・背景
建設業界は慢性的な人員不足の問題に加えて、職人の高齢化により2025年には約130万人の技能労働者が不足するという試算もある。建設業界の長時間労働を削減しながら、安全と品質を確保して施工するために、生産プロセスにAIやloT等の最新技術を取り入れ、ビジネスモデルを見直すことが必須だと考えられた。実際の建設現場の目線を維持しながらDXを推進していくことが求められている。
このような背景から、陰山建設株式会社ではドローンによって建築現場の映像を様々なデバイスで共有できる「Building More」(ビルディングモア)を開発した。
経過・対応・取組内容
「Building More」開発に先駆けて、陰山建設株式会社ではすべての建設現場において自社100%のドローン飛行を行った。従業員49名のうち32名がドローンパイロット資格を保有しており、現在は社内教育にてドローンパイロットの育成も取り入れられている。
「Building More」の目的は現場を可視化・共有することだ。現場写真の他に、工程表、出来高、各種書類の共有が可能。またひとつの工事情報がすぐにわかるように表示されている。そのため、ペーパーレスで情報が一元管理できるようになり、工事の進捗状況をどこからでも確認できる。これにより業務の時間短縮が期待されている。
得られた成果
「Building More」は元請会社用に開発されたアプリであったが、新たな機能が付いた「Building More Plus(ビルディング モア プラス)」が開発される予定だ。「Building More Plus」では、従来の機能に予算や受発注の管理、見積り提出や受注、画面共有といった機能が追加される。下請け会社なども含めて現場に関わる人をつなぎ、一元管理を可能にすることを目指している。その他、書類作成のデジタル化や報告業務の効率化、現場状況の見える化の実現が期待される。
「Building More」の導入により顧客満足度、生産性、従業員満足度、受注力の向上など、多面的な成果が見られている。業務の効率化によって、現場監督の業務削減など、働き方改革としても効果を発揮している。
編集部コメント
近年でこそ建設DXが活況を見せていますが、建築現場がそれぞれ異なること、複数の階層の業者が存在することで、建設業界の標準化やデジタル化は難しいという声もありました。こうした複雑かつ個別のビジネスであるからこそ、現場と関係者でできうるかぎりの情報を共有できる仕組みづくりには価値があると言えます。