概要
- 灯油の配送料や配送タイミングがわからず配送員の負担が大きい
- 灯油タンクの残量を遠隔管理する配送管理システムを開発
- シンプルな構造で導入拡大、配送担当者の労働環境が改善
DXの動機・背景
冬の寒さが厳しい地域では、灯油の配送は生活を支える重要なサービスだ。しかし、豪雪のなかで配送を行う配送員の労働負担が問題視されていた。その要因の一つが、配送のタイミングや補給量が最適化されていないことだ。配送先の灯油タンクをのぞいてみないと残業がわからないので、せっかく配送に向かっても補充が不要だった…という場合もあれば、逆に底をつきそうなのに一向に補充されない、という場合もある。どのタイミングでどれだけ補充すればいいのか分かれば、配送員の負担解消に大きな貢献ができる。
経過・対応・取組内容
この問題に注目したゼロスペック株式会社は、灯油タンクの残量を遠隔管理する配送管理システム「GoNOW」を開発した。
このシステムの特徴は、同社が開発した「スマートオイルセンサー」だ。灯油タンクの蓋を「スマートオイルセンサー」に付け替えることで、センサーが灯油残量を赤外線で測定する。灯油の配送業者は手元のPCやスマートフォンで、配送エリアの各タンク内の灯油残量を確認することができるため、残量を考慮した配送計画を立てることができる。
得られた成果
「GoNow」の導入により配送ルートやスケジュールが効率化され、配送員が休みやすい職場環境になったという。タンクの蓋を取り替えるだけという手軽さと良心的な価格設定、またタンクを所有する各家庭からも理解を得られやすいシンプルさから、サービス開始後およそ2年で全国33都道府県・約3万台の導入に至った。2019年には総務省が主催する、ICTを活用した地域活性化の取り組みを表彰する「ICT地域活性化大賞2019」の大賞/総務大臣賞を受賞した。
編集部コメント
雪の少ない地域では想像が難しいかもしれませんが、豪雪地帯では灯油配送は冬の生活の一端を担っています。本事例は地域特有の問題への取り組みではありますが、広く捉えれば物流DXのひとつだと言えます。どのタイミングで何をどれだけ配送するか、という考え方は、様々な場面に適用できる可能性があります。