概要
- 収益性の高い経営に刷新するために様々なデジタル技術を導入
- クラウドサービスを利用し、予約システム、情報の電子化とリアルタイム共有を実現
- 独自システムを再整備し、同業者に広く販売
DXの動機・背景
株式会社陣屋は神奈川県の鶴巻温泉に所在する旅館「陣屋」を経営している。1918年に開業した老舗旅館だが、バブル崩壊の頃から売り上げが減少し、徐々に経営も悪化。不振原因の一つは、社内管理体制や従業員間の情報共有にあり、社内連携の不足から顧客からのクレームを引き起こしていた。経営改善の大方針として、高付加価値・高単価・低稼働率な目指す必要があり、業務効率の改善と、そこから生まれる人的リソースを高付加価値な業務へと振り分けることを実現しなければならなかった。
経過・対応・取組内容
株式会社陣屋は、この状況の打破を目的に統合的な管理システム「陣屋コネクト」を自社開発した。予約システムをはじめ、勤怠管理、業務連絡、原価管理などバックヤードに存在している数多くの課題の解決につなげた。改善ポイントは大きく分けて予約システムの刷新、情報の電子化、情報共有の見直しの3点だ。情報の電子化では厨房などのバックヤードにモニターを設置し、正確な情報の迅速なアップデートを実現。情報共有はスタッフがそれぞれインカムをつけ、タブレットを活用することで実現した。
得られた成果
株式会社陣屋が経営改革のために開発した「陣屋コネクト」は、2010年に運用を開始。ディスプレイやタブレットを活用した情報共有により伝達ミスは激減し、システム導入後は50%近い人員の合理化につながった。
正確な情報の運用はスタッフの再編成や人員配置にもつながり、効率的な経営の実現から売上高、利益高の大幅な改善を実現した。
さらに、自社での成功事例をもとに、陣屋コネクトを各地の宿泊施設やレストランで活用できる汎用システムとして再整備。外販を実施。2018年度日本サービス大賞では総務大臣賞を受賞した。
編集部コメント
限られたリソースをシステムで効率化することは、より高付加価値な業務にリソースを費やせることに直結します。特にサービスが重視される業界ではこの影響が顕著で、業務の負荷解消から従業員のモチベーション向上に繋がった点も見逃せません。
参考・出典
- 陣屋コネクト – 旅館・ホテルの経営とサービスを革新するクラウドアプリケーション
- 【動画を限定公開】デジタル活用は何のため?老舗旅館の陣屋がDXする理由 | ツギノジダイ
- 総務大臣賞 | 日本サービス大賞
- これを旅館と呼んでいいのか!? 老舗旅館「陣屋」が切り開く新たなビジネスモデル:【特集】Transborder ~デジタル変革の旗手たち~(1/4 ページ) – ITmedia エンタープライズ
- 」鶴巻温泉「陣屋」の女将・宮﨑知子さんに学ぶ。DXとITで支えるデジタル時代のおもてなし術|株式会社KDDIエボルバ
- 株式会社陣屋:倒産寸前の老舗旅館 データを使いこなす接客人材を育てた経営者と女将の取り組みとは|研究プロジェクト|リクルートワークス研究所