概要
- 電線と支柱との間を絶縁する「碍子」の検品工程にAI・ロボットを活用
- 出来上がった碍子をAIによる画像判定で不良品を選別
- 全社をあげてITを活用、スマートファクトリー化を目指す
DXの動機・背景
碍子(がいし)とは、送電線などの電線と鉄塔や電柱のような支柱との間に設置する陶磁器製の絶縁体。佐賀県の株式会社セイブではこの碍子を製造する陶業を営んでいる。陶業の、特に品質管理においては職人の感と経験に頼る面が大きい。検品作業は品質維持における重要な工程であり、担当者は相当の集中力を要する。こうした作業負担の軽減に加え、労働集約的な生産体制を脱却することによる需要変動への対応力強化も課題であった。そこで個人の経験・技術に依存する従来型の製造業から、データに基づいて品質管理を行うスマートファクトリー化を目指した。
経過・対応・取組内容
IoT、AIを活用した検品の仕組みを導入。未検査の碍子をロボットにより定位置に移動させ、カメラで撮影する。撮影された画像はAIにより傷・ひび割れなどの有無を確認され、合格・不合格それぞれの箱に移動させられる。
得られた成果
ロボット・AIによる1件あたりの処理時間は19秒程度で精度も良好であり、長時間の集中力を要する作業に従事していた担当者の大幅な負担軽減を実現した。不良と判定された要因を特定する工程の自動化の検討や、可不可の閾値を調整するなど継続した改善をしていくとのこと。また製造段階でもIoTの導入を行っており、「連続乾燥炉」の湿度や温度のデータを収集したり、工場の扉の開閉をセンサー管理したりと急速にスマートファクトリー化を推進している。
編集部コメント
陶業をはじめ、職人個人の技術や経験に支えられている業界は多く存在します。将来的な労働力の減少と、それによる技術継承の困難さを見据えて、こうした業界においてもIoT・AIを活用する動きが活発に見られます。株式会社セイブの事例はそうした課題に対する好例と言えます。