概要
- 歯科矯正は価格や通院、継続に労力を要する
- 原則通院不要の歯科矯正サービスをリリース
- メッセージアプリを活用した手軽さで継続率97%を実現
DXの動機・背景
男女問わず関心を集める歯科矯正だが、美しい歯並びになるまでには超えなければならないハードルが複数ある。ひとつめは「価格の高さ」だ。一概には言えないが、数十万円は下回らないという価格は、多少歯並びが気になる程度では手を出しづらい。ふたつめは「通院の煩わしさ」だ。定期的に歯科医院に足を運び、具合を医師に確認してもらう必要がある。そして最後に「装着の負担」だ。マウスピース矯正であれば、自己管理で1日20時間以上装着する必要があり、使用者には少なくない負担である。
経過・対応・取組内容
株式会社Oh my teethは、原則通院不要の歯科矯正サービスを開始した。提携する歯科医院で歯形を3Dスキャンし、口内のレントゲン撮影・医師による診断を行うと、後日オーダーメイドのマウスピースキットが自宅に届く。毎週、形の異なるマウスピースに交換して装着を継続し、約3か月で治療は完了する。矯正開始後の医師への相談・進捗確認はLINEを通じて医師とやり取りを行うことができるため、原則として歯科医院への通院は不要だ。また、マウスピース装着のリマインドや完了までの残り日数、応援メッセージなどもLINEで送信され、治療の継続をサポートする。リモート診療によるコスト削減や、部分矯正をメインメニューとすることで、シンプルな価格設定を実現し、手軽な歯科矯正を提供している。
得られた成果
マウスピース矯正は自己管理で装着する必要があるため、約3割が継続できずに挫折してしまうというが、本サービスの利用者は、97%と高い継続率を誇っている。歯のスキャンデータや治療計画・治療状況などのデータは、提携医院・医師に共有されるため、症例や医師の知見のデータベースとして、歯科矯正を専門的に学びたい医師にも役立っている。
編集部コメント
本事例のようなオンライン診療は少しずつ普及しつつありますが、既存の仕組みを大きく変える取り組みは、顧客を得るのに時間がかかります。株式会社Oh my teethでも、サービス開始当初は歯科医院やユーザーからの信頼を獲得するのに苦心したとのことです。例えば、サービスを信用してもらうために、歯科医師が監修した記事を公開したり、歯科矯正への姿勢を明記した「メディカルポリシー」を公表したりと、誠実な情報発信を試みています。オンライン診療に限らず新しい仕組み作る際には参考にしたい事例です。
参考・出典
- 【公式】マウスピース矯正 Oh my teeth | 自宅で歯並びなおしませんか?
- 自宅で歯科矯正「Oh my teeth」が正式ローンチ。独自開発の矯正ソフト、LINE活用でまったく新しい矯正体験を実現|Oh my teethのプレスリリース
- 一律料金で通院不要「マウスピース矯正」の正体 デジタル化で低価格化や患者の利便性をアップ | 医療・病院 | 東洋経済オンライン
- 3年で売上10倍! 過熱する「マウスピース矯正」市場で、Oh my teethが成長しているワケ:未来の歯科体験(1/5 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン
- 結果の出る“通わないDX歯科矯正”とスピーディーなクリニック開発で、未来の歯科体験を創る「Oh my teeth」(ICC KYOTO 2022) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION
- 通わない歯科矯正に希望者3万人 「怪しさ」を地道に払拭 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
- 歯科矯正革命を起こす! Oh my teeth 西野誠が語る、挫折しない大人の歯科矯正 | GOETHE
- 「歯医者じゃないみたい」ユーザーの感想多数 リモート矯正サービス「Oh my teeth」が作る未来の歯科体験 – ENILNO(エニルノ)