従来の建設機械にICT機能を後付けするキットを開発

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1921年

従業員数

64,343人(連結)

資本金

696億6,000万円(連結)

売上高

3兆5,434億円(連結)

主な事業

建設・鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)、林業機械、産業機械などの事業

※2023年11月時点/公式ホームページより引用

概要

  • ICT機能を備えた建機の普及のネックになっているのが価格
  • 従来の建機にICT機能を後付けするキットを開発
  • 初期費用を安価に抑えて数千台の導入を実現

DXの動機・背景

国土交通省が推進する「i-Construction」は、建設生産プロセスでのICT(情報通信技術)活用を通して生産性を向上させることを目的としている。こうした流れを受けて近年注目されているのが、ICT機能を備えた建設機械、いわゆる「ICT建機」だ。 “マシンコントール”や“マシンガイダンス”と呼ばれる、自動制御・操作補助の機能を搭載しているものが主流で、作業効率や安全性に優れている。しかし、日本の建設現場で稼働する建機の98%は、ICT機能のない従来の建機だ。低い普及率の大きな原因は、従来の建機と比べ高額な初期投資が必要であることだと言われている。5年~10年は稼働するといわれる従来の建機を、高額なICT建機に入れ替えるのは、特に中小企業にとって簡単なことではない。

経過・対応・取組内容

大手建設機械メーカーの株式会社小松制作所は、従来の建機にICT機能を後付けできるキット「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」を開発した。このキットを油圧ショベルに取り付けることで、マシンガイダンス機能やペイロード機能(油圧ショベルの積み込み重量を管理する機能)を利用することができるようになる。併せて、3D施工に必要な各種サービス・アプリを開発し、低価格かつスムーズにICT機能を活用できるサービスを提供している。

得られた成果

「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」によって、従来の建機にICT建機と同等の機能を、より安価に持たせることが可能になった。発売以降の導入実績は、数千台にものぼるという。近年では発注者がICT施工を指定する現場もあることから、同キットの利用によって、対応できる工事案件の幅を広げられると言える。

編集部コメント

建設業・土木業はDXが特に盛んに模索されている領域です。様々な技術やサービスが次々と生み出される一方で、そうした環境にキャッチアップするには、コストの問題が立ちはだかります。一般的な油圧ショベルを改造してICT建機にする場合は1,000万を超えるのが相場と言われるなかで、わずか70万円から導入できる「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」は、コストの問題で進まなかったICT建機の普及を推し進める可能性があるという点で、単に低価格であること以上の意義を持っています。

 本記事についての情報提供やご意見・ご指摘等ございましたらこちらのフォームより「その他のお問い合わせ」にてお知らせ頂けますと幸いです。