家電量販店に店頭価格が瞬時に変更できる電子棚札を導入

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1978年

従業員数

9,699人(連結:2022年8月時点)

資本金

259億2,900万円

売上高

7,923億68百万円(連結:2022年8月期)

主な事業

カメラ、ビジュアル製品、オーディオ製品、パソコン、OA機器、携帯電話、家電製品、時計、ゲーム、メガネ・コンタクト、医薬品、玩具、スポーツ用品、寝具、酒類等の販売

※2023年11月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 膨大な商品の価格更新は数時間を要する作業
  • 自動で価格更新がされる電子棚札システムを導入
  • 価格更新作業を削減しECと連動した新しい顧客体験へ

DXの動機・背景

都市圏に大型店舗を構える株式会社ビックカメラでは、常時競合店との比較などをふまえて適切な商品価格になるよう、1日に3~4回ほど価格更新が行われている。本部から店舗に価格更新の連絡が入った場合、従業員は商品在庫を確認し、専用端末で値札を作成し、値札ケースのサイズに合わせて切断、旧価格の値札と差し替える作業を行っていた。店舗によっては数十万点にも及ぶとされる商品の価格を、1日に何度も更新することになるので、接客や商品補充が手薄になったり、値札の差し替え自体が間に合わず、競合店に顧客が流れてしまったりすることもあった。こうした価格の改訂作業に伴う、販売機会の損失を解消することが求められていた。

経過・対応・取組内容

「ビックカメラ」は、全店で電子棚札を導入した。電気によって書き換えを行う電子ペーパーを画面に採用した値札だ。これにより、従来は数時間かかっていた価格更新を、従業員の手を介すことなく瞬時に行えるようになった。この電子棚札にはNFC(Near Field Communication、近距離無線通信)機能が備わっているので、ビックカメラ公式アプリを起動したスマートフォンをかざすと、公式ECサイト「ビックカメラ・ドットコム」の商品ページが表示され、商品情報や口コミなどが閲覧できる。
また電子棚札は「ビックカメラ・ドットコム」で実施している、商品を店舗で取り置き・受け取りができる「ネット取り置きサービス」にも活用されている。取り置きされた商品を店頭在庫からピッキングする際、電子棚札のLEDが点滅する仕組みになっているので、膨大な商品が並ぶ売り場から素早く正確にピックアップすることができるのだ。

得られた成果

店舗によっては1日に2~3時間ほど要していた価格更新作業がほぼゼロになったことで、その時間を接客や商品補充などの業務に振り分けることができるようになった。接客時にも、シームレスに「ビックカメラ・ドットコム」の口コミを参照できることで、店員のセールストークに説得力が増す。

編集部コメント

EC市場が拡大する中で、リアルの店舗での消費者コミュニケーションも変化しています。たとえば、店舗の商品を眺めながら同店のECサイトの口コミを比較しつつ、ECで注文することもあるかもしれません。こうした消費者行動にキャッチアップするひとつのアプローチが「オムニチャネル化」や、ECとのシームレスな購買体験です。値札の電子化は単なる効率化ではなく、値札という最も消費者の目が留まる数センチの領域をタッチポイントとした、新しいコミュニケーションと捉えるべきでしょう。

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