概要
- トラック用バースの有効活用と倉庫内の貨物回転率の向上を目指す
- バース予約・受付システムによって受付とバースの状況を可視化
- 待機トラックの減少やバース利用の効率化によって全体の生産性を向上
DXの動機・背景
福岡運輸株式会社ではトラックを利用した運送事業とその拠点となる倉庫業を営んでいる。同社の事業では、数の限られるトラック用バース(トラックが接車し荷物を積み下ろすためのスペース)の効率的な利用と、倉庫内の荷物回転率の向上が重要である。バースに荷物が集中するとトラックの積み込み待ちや荷下ろし待ちが発生し、効率が低下するだけでなく、周辺道路で待機するトラックが近隣住民からの苦情に繋がるといった副次的な問題も生じてしまう。同社ではこの問題の解決策として「バース予約・受付システム」を導入した。
経過・対応・取組内容
同社の「バース予約・受付システム」は、荷物の受付状況とバースの利用状況を可視化するものだ。荷物の受付手続きをドライバーが所有するスマートフォンからも行えるようにすることで効率化を図った。同様に、受付とバースの状況を倉庫側従業員も随時確認できるようにし、荷下ろしと積み込みもスムーズに行えるようにした。
得られた成果
「バース予約・受付システム」の導入により、慢性化していた待機トラックの減少とバース利用の効率化に成功した。荷物の配送だけでなく倉庫内の作業においても大幅な効率化を図ることができた。
また、待機トラックに対する近隣住民からの苦情も減少し、業務の効率化によって長時間勤務のドライバーが休憩・仮眠時間を確保することができるようになるなど、業務の非効率によって生じていた諸問題も解消されている。2020年1月にはこのシステムが九州運輸局の表彰制度において環境保全部門で表彰を受け、その成果が広く知られることとなった。
編集部コメント
バース予約・受付システムの導入は、人手不足の慢性化などの影響を受ける運送業界において、業務を効率化し現状を打破するロールモデルです。ECの急速な普及で小口の配送が大幅に増加した結果、配送や倉庫内業務は複雑化しています。本事例をはじめとした物流DXが盛んになっているのは、こうした背景を受けています。