概要
- 人材不足を解消するための農家向け野菜収穫ロボット
- ロボットが畑内を自動走行し、収穫に適切かどうかを判断して自動収穫する
- 収穫量に応じて利用料を支払うRaaS(Robot as a Service)
DXの動機・背景
農林水産省の統計によれば、2022年時点で日本国内の基幹的農業従事者(※ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)のうち70%ほどが65歳以上であり、就業人口は減少を続けている。inaho株式会社では、こうした深刻な人材不足に直面する農業の「収穫作業」に着目。収穫作業は基本的に人の手で行われ、改良の余地が大きいと考えた。
経過・対応・取組内容
アスパラガス農家と共同で、収穫作業を自動化するロボットを開発。ビニールハウス内の白線に沿って走行し、AIが十分に生育したアスパラガスを判別しながら収穫していく。
一般に農機具の購入費用も農業における課題であり、高齢化の進む農家においてロボットのような高額の初期投資は現実的ではない。そうした点を踏まえて、inaho株式会社では本サービスをRaaS(Robot as a Service)としてレンタルで提供している。
得られた成果
本事業は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」などに採択された。当初は対象をアスパラガスに絞り、主要な産地である佐賀市周辺をターゲットとしていたが、2020年にはオランダにも拠点を設立。対象とする作物もアスパラガス以外に拡大している。
編集部コメント
農業人口の高齢化・減少をうけて、様々な企業がIoTを駆使して農業の課題を解決する「スマート農業」の分野に進出しています。こうした技術の導入・実用には、就業者の金銭的負担やITリテラシーがひとつの障壁ですが、この点においてinaho株式会社のRaaS型での提供は、より実際の課題解決に歩み寄っていると言えます。