概要
- 給食製造現場におけるルーティンワークの削減と専門性の高い業務への集中を目指す
- AIやIoTを駆使して自動化や可視化による合理化を実現
- 開発したソリューションをパッケージ化し同業の給食業者へ提供
DXの動機・背景
株式会社フレアサービスは介護施設を中心に、障害者施設や幼稚園に食事を提供する給食サービスを営んでいる。同社では従業員のルーティンワークを削減し、専門性の高い仕事に専念させることと、低価格で高品質サービスを提供することを目指している。
しかし現実として、栄養士は献立の立案に忙殺されており、製造する工場では365日替わる献立のため作業の標準化や合理化が難しく、専門的な業務への移行が進められていなかった。
そこで同社では、大きく3つのデジタル技術を活用した取り組みを行った。
経過・対応・取組内容
ひとつ目はAIによる献立作成システムの開発だ。豊富に格納された料理のデータを、栄養バランスや原価、和洋中のジャンルや調理方法の制約に応じて様々に組み合わせ献立を作る。ふたつ目はIoTを活用した生産性可視化システムだ。工場の天井に設置したロケーターで作業者の導線を準備時間・移動時間・作業時間に分けて可視化し、効率化を図る。
さらに基幹システムを導入し、手書きや手作業の事務作業をワンストップで自動化できるようにした。
得られた成果
AI献立作成システムの導入により、年間1190時間の献立立案時間を50%削減。
生産性可視化システムを運用し導線を可視化した部署では、その結果をふまえた改善により合計約200時間の労働時間(月)を削減した。こうしたシステムの活用によって、業務の改善と目的を現場に対してロジカルに説明し納得してもらえるようになったことも成果であるとのこと。またこれら一連のシステムは、その後「フレアユニクルソリューション」として全国の給食業者に提供していくという。
編集部コメント
事例では「中小企業では専任のPMにすべてを任せることが難しいケースもある」という理由から、社長がプロジェクトマネージャー(PM)を務めています。こうした強力な推進力は、中小企業においてDXを進める上では重要です。