概要
- 情報共有やコミュニケーションの迅速化で全社的な業務効率の改善を図る
- 固定電話の廃止と社内情報のクラウド化で無駄を削減
- クラウドとスマホを活用したペーパーレスの実現
DXの動機・背景
東邦工業株式会社は、プラスチック製品の設計から金型製作・成形・塗装・印刷・組立・組立までを一貫して担う、プラスチック製造企業である。業務を効率化させることで、これまで以上に事業を成長させ、グローバルな競争力を強化することを目指している。
しかし、従業員間での情報共有やコミュニケーションは、固定電話や紙、ホワイトボードなどを介するアナログな手段が主流だった。そのため、特定の従業員しか情報を持っていなかったり、二度手間が発生したりするなど、業務スタイルの非効率さが目立ち、スピード感に欠けていることが課題であった。
そこで同社では、さまざまな方法でDXによる全社的な業務効率の改善に取り組んだ。
経過・対応・取組内容
まず、音声コミュニケーションの迅速化のために行ったのが固定電話の廃止だ。150台あった固定電話のほとんどを廃止したうえで、従業員には会社からスマホを貸与し、それでコミュニケーションを取るようにさせた。その際、社用電話・スマホを内線化するFMCサービスを活用し、会社の内線電話として機能させている。
また、製造記録や日報といった情報は、紙やホワイトボードではなく、クラウド上にデータとして格納する方式に変更。組織向けオンライン アプリケーションセットを導入することで、PCやスマホがあればデータの入力や確認を可能にした。
得られた成果
従業員同士のやりとりがスマホに集約されたことで、どこにいてもスムーズな連絡が可能になった。取り次ぎに要する時間が従来の1/10以下となったため、顧客を待たせることがなくなり、従業員も業務に集中できるようになったと実感しているとのことだ。
また、情報共有のデジタル化・ペーパーレス化を進めたことで、PCやスマホからの入力や変更、確認が可能になり、従来のように書類を探す手間が削減された。クラウド上であれば画像の共有も容易であり、すべての従業員が状況を正確に把握できるようになったため、対応のスピードや業務の質が上がった。
編集部コメント
大手企業より予算も人的リソースも小規模な中小企業では、なかなかDXが進まないのが現実です。そのなかで、無理に高額なシステムを導入するのではなく、自社に合ったものを的確に選んで活用し、社内のDXとデジタル文化の形成を果たしたのは大きな成果といえます。