概要
- 社内システムをクラウド化、事務作業をリモートワーク可能にする
- チラシデザインやホームページ制作を外部委託に切り替え
- 遠隔地の人材雇用、売上・給与改善など多面的な恩恵
DXの動機・背景
花の仕入れに水上げ、陳列、更に接客と、生花店の業務には知識と技術の習得が必要だ。一人前になるには時間がかかり、属人性が高いため若手に技術承継がされにくい。必然的に優秀なスタッフへの依存度が高くなるので、そうしたスタッフの退職は経営に影響するほどのインパクトがある。株式会社ヌボー生花店では、ある優秀な女性スタッフからの退職の申し出をきっかけに、リモートワークができる環境づくりに取り組んだ。
経過・対応・取組内容
リモートワーク環境の整備のため、社内システムのクラウド化を進めた。顧客情報の管理や注文の受発注、経理といったバックオフィス業務を遠隔で行えるようにしたことで、勤務地不問でのスタッフ採用が可能になった。
また現場スタッフが接客に集中できるよう、従来は店舗で対応していたチラシデザインなどの作業を、クラウドソーシングを活用することで外部人材に委託することを決めた。段階としては、まずは店舗で行っていた接客以外の業務を可能な限り本部に移管し、本部でも対応できない業務を外部委託する、という形をとった。
得られた成果
リモートワーク環境が整った結果、本社のある長野から遥かに離れた石川県や、海外在住のスタッフまでが採用できるようになった。またクラウドソーシングでデザインやホームページ制作を外注化することで、店舗スタッフは接客や店舗レイアウトに時間を割けるようになった。適材適所な業務分担と、新型コロナウイルスによる在宅需要が追い風となり、2020年には店舗売上が約120%アップを達成した他、2017年比で平均給与が約1.2倍になったという。
編集部コメント
本事例のように、必ずしも現場で対応する必要がない事務作業まで店舗が担っていることは少なくありません。こうした業務を完全に切り離し、整理することで、バックオフィス業務をリモート化したり、より柔軟な働き方を実現したりできる可能性があります。特にライフステージに就業が左右されやすい女性の雇用は、こうした働きやすい環境作りによって大きく改善しうるものです。