概要
- ドライバー不足とトラック積載効率という2つの業界課題
- 共同輸送マッチングサービス「TranOpt」を開始
- さまざまな業種の企業約130社がTranOptを利用
DXの動機・背景
荷物を輸送したり保管したりする際に載せる“パレット”と呼ばれる荷台を提供する日本パレットレンタル株式会社は、国内1位のレンタルパレットサプライヤーとして知られている。物流業界ではトラックドライバーの不足が年々深刻化しているのに加えて、2024年にはトラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に上限規制されることが決定した。国交省の統計によれば日本のトラック積載効率はわずか40%未満にとどまっており、複数企業が共同輸送を実践することによって限られた輸送能力を活用することが期待されている。
経過・対応・取組内容
日本パレットレンタルは共同輸送マッチングサービス「TranOpt」を提供。TranOptはAIを搭載した会員制のWebシステムで、異種業界を跨いだ荷主企業同士をマッチングすることにより、共同輸送を可能にした。
AIは群馬大学・明治大学との産学共同研究によるもので、経路・想定運賃・荷量の需給・季節変動などを考慮したマッチングが可能。会員登録やマッチング検索等のサービスの利用は無料で、成約時のみ手数料がかかる成功報酬型および月額制の定額利用型の2種類がある。
得られた成果
TranOptはさまざまな業種の企業約130社が利用中であり、2021年8月までに実施された無償トライアル利用においては、マッチング候補の平均実車率は約93%と高い数値を示した。運行経路の発着地情報だけではなく、季節ごとの物量の変動などといった情報を付加できる仕様になっている点で使いやすいと感じている企業が多い。ドライバーの人手不足解消や、CO2排出量の削減も期待されている。
また、多くの系列会社を抱える企業がグループ内の輸送効率化を図るツールとしても、すでに数社で役立てられている。
編集部コメント
TranOptは登録されているルートデータが多いほどマッチング精度を高めることが可能です。導入企業数6,500社、稼働台数21万台の実績を持つ富士通デジタコとのAPI連携によってマッチング精度がさらに飛躍することも期待されています。
パレットは規格や流出問題など、物流に不可欠でありながら課題も多い分野です。人材不足に伴い、こうした効率化は一層重要になってくるでしょう。