音声認識型スマートグラスが建設の「遠隔臨場」を実現

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1907年

従業員数

2,123人(2022年3月時点)

資本金

198億円

売上高

2,372億円(2022年3月期)

主な事業

総合建設業およびこれに関連する業務

※2023年3月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 作業効率と生産性の向上を目指したICTの推進
  • 映像で指示や確認を可能にする「V-CUBE コラボレーション」
  • 移動時間・コストの削減とトラブル対応の迅速化

DXの動機・背景

多くの大規模な建設現場を手掛けてきた奥村組では、2019年に将来のビジョンを表す「2030年に向けたビジョン」を掲げた。ICT統括センターやDX推進専門部会などの専門部署を立ち上げ、AIやIoTといった先進的技術の活用と基幹システムを刷新することで、生産性の向上と企業価値の向上に臨む。
ICT統括センターでは、戦略的なICTの推進やスピーディな問題解決、各部門間における情報共有の強化を目的として、さまざまな試みがされた。その中でも、注目したのが遠隔臨場の推進である。

経過・対応・取組内容

遠隔臨場とは、動画撮影のカメラなどで現場を撮影してビデオ通話システムなどに映して進捗や材料の確認、立会を行うものを指す。国土交通省が遠隔臨場を推進したことも後押しとなり、ICT統括センターではそのためのツールとして「V-CUBE コラボレーション」を採用した。ハンズフリーで利用でき、ミリ単位で数字が読み込める機能が付いていることが採用の理由であった。ヘルメットに固定するアタッチメントが付いており、目線からの映像が送れることが大きな特徴だ。
また、音声認識の精度の高さやノイズキャンセリング機能により、相手が現場内の重機の近くにいても音声がクリアに聞こえる点も選定のポイントとなった。

得られた成果

同ツールの導入により、事務所の担当者と現場監督、発注者と複数人で現場から送られてくる映像を共有できるようになった。送られてきた映像と静止画はクラウド保存も可能なため、気になる部分に直接書き込み、現場のディスプレイに表示することも可能だ。顧客とのやり取りだけでなく、現場監督やその他職員との情報共有など、指示を的確に伝える方法としても役立ち、認識違いが起こりにくくなった。
遠隔臨場が可能になったことで現場監督が現場臨場を行う回数が減り、コロナ禍で移動や人に会うことのリスクなく、移動時間やコスト削減にも有効である。

編集部コメント

本事例のように、画像・映像で現場の情報を共有できるツールは、熟練者からの技術継承にも活用できます。例えば遠隔地にいる熟練者が若手作業員にスマートグラスを使って指示を出せば、よりリアルな情報で人財の育成が可能です。

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