概要
- 縫製済みの服を染める「製品染め」を大手ブランド含め幅広く請け負う
- CCMやデジタル管理システムを導入し、作業時間の短縮と合理化を実現
DXの動機・背景
株式会社内田染工場は、縫製済みの服を特殊な染料及び脱色法で染める「製品染め」を主に手掛けている。同社では特にグラデーション加工を施す特殊染めを得意としており、若手スタイリストから、大手アパレル、パリコレクションの常連ブランドまで幅広く依頼を請け負っている。
創業当時は同業が近隣に存在していたものの、創業から113年が経った現在では、周辺で稼働している同業社はなくなっている。
同社では、手仕事の伝統は守りつつ、時代に合わせて大きく3つのデジタル技術を活用した取り組みを行っている。
経過・対応・取組内容
同社では、色彩計で色見本を測定し、コンピューターで原色インキの組み合わせやインキ盛量の最適化、最適な配合を自動で計算するCCM(コンピュータ・カラーマッチング・システム)を導入している。このCCMに基礎データを読み込ませるのに、半年以上を費やしたという。
また生産スケジュールの管理システムも導入。機械の稼働予定や受注ごとの染め工程などを一元管理し、社員全員に配布したタブレットから確認できるようにしている。
近年では若い社員が中心となってSNSを活用し、染めた古着や加工を行った服の写真を投稿するなど、消費者と直接つながる取り組みも行っている。
得られた成果
CCMの導入により、これまで以上に素早く染料を割り出せるようになり、色の確認作業の効率が大幅に改善。加えて、作業時間の削減に成功したことにより、新しい製品染めの研究開発に使える時間も増加した。
また生産スケジュールの管理システムによって業務の進捗状態をタイムリーに把握でき、作業の見える化と効率化が実現されている。
SNSのフォロワーは3,000人を超えており、投稿を見た海外ブランドからの問い合わせも少なくない。すでにさまざまな企業とのコラボレーション企画も決まっており、グローバルな展開に力が入ってきている。
編集部コメント
同社はその卓越した技術で多くのファッション産業を支えています。職人の手作業で一点ずつ染色する傍らで、時代にあわせて技術を受け入れ、合理化を図っています。DXの推進と職人の手作業を両立している事例です。