概要
- ものづくりの「調達」は最も時間を要するにも関わらずDX事例は少ない
- AIによる即時見積・短納期を実現する部品調達サービスを立ち上げ
- 数週間~数ヶ月かかる調達をわずか数日に短縮
DXの動機・背景
ミスミグループはファクトリーオート―メーション装置用部品や金型部品の製造、他社商品も含めた機械部品の販売を行い、製造業界を支えている。
DX事例が多く見られる製造業界だが、バリューチェーンにおける「設計」「調達」「製造」「販売」の中で調達領域においては取り組みが少ない。いまだに紙ベースのコミュニケーションが中心だったり、図面作成/見積依頼/納品までの待ち時間、といった調達の全工程において多くの時間を要していたりと、労働生産性の改善余地があった。同社はその解決策としてカタログ販売により部品の標準化を進めることで短納期を実現していたが、独自の設計が必要な部品も同様に対応するべく新しい仕組み作りに取り組んだ。
経過・対応・取組内容
オンライン部品調達サービス「meviy(メビー)」をリリース。部品の設計図を3Dデータでmeviyにアップロードすると、AIが形状を認識し、価格と納期をものの数秒で算出する。同時に、従来設計図を基に人が行っていた部品を作るための加工プログラムも自動で生成して工場へ転送するため、受注すると即座に生産が開始でき、短納期での納品を可能にする。
得られた成果
meviyにより見積依頼や受取までの時間、納品までの時間が短縮化されたことで、調達にかかる時間が92%削減できたという。また、複数の部品データをアップロードして見積を比較することでコストダウンにつながる設計方法を学んだり、アップロードしたデータに設計上の不備があると示されるmeviy上の指摘が設計者の気づきになったりするなど、教育の観点からも評価されている。
編集部コメント
IoTやロボット化、センサリング技術といった先進技術が急速に浸透している製造業において、最も時間のかかる工程でありながら改革が遅れているのが、調達です。今後も続くと考えられる労働人口の不足に加え、2023年4月から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されるようになったことで、業務効率化はますます重要度を増しています。