概要
- 従業員の人材配置を決定する「作業割当表」の作成業務を効率化
- 作成ルールをアルゴリズムに落とし込んだ作業割当表作成支援システムを開発
- 該当業務時間を大幅に削減
DXの動機・背景
サミット株式会社は、東京を中心とした首都圏でスーパーマーケット「サミット」を122店舗(2023年3月時点)展開している。各店舗での重要な業務が「作業割当表」の作成だ。どの従業員をどこに配置しどの作業をさせるのか、適切な人材配置のために必要なものである。基本的には1日に1回以上、店舗責任者が作成している。
これまで独自の人材配置手法を用いてこの作業割当表を作成していたが、作業内容ごとに必要なスキルや、従業員ごとのスキル、更には従業員のシフト状況など、様々な要素を考慮して作成する必要があるため、1回の作成にあたり30分~1時間かかっていた。この作業割当表の作成業務の効率化および、より高度な店舗マネジメントの実現のため、システム化を試みた。
経過・対応・取組内容
サミットはAIを活用した作業割当表作成支援システムを開発した。出勤者のデータ、作業や時間帯ごとの作業割当ルール、作業や作業者の優先順位などの情報をシステムに入力すると、数万通り作成された中から最適な作業割当表が出力される仕組みだ。2週間先まで作成が可能であるため、事前の出勤依頼などが可能になり、従業員へ負荷をかけない勤務シフトを組むことも可能になった。
得られた成果
開発したシステムを一部店舗で試験導入した結果、一度の作業割当表の作成につき、30分~1時間かかっていた作業時間が、10分~20分に短縮された。同社の試算によると、全店舗で導入された場合、年間約8万時間、人件費約1億2000万円相当の削減効果が見込めるとのことだ。また、人事異動や中途入社などで経験の浅い店責任者でも作業割当表の作成ができるようになったことも副次的な成果である。
編集部コメント
複数の要素を考慮しながら妥当な人材の配置を行うのは、相応の作業時間に加えて経験や慣れを要します。機械化できないと思われるものでも、本事例のようにAIを活用することで、ノウハウが標準化され業務効率の改善につながるかもしれません。