商業施設へのテナント出店契約をオンラインで完結させる

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1931年

従業員数

4,435人(連結/2023年3月時点)

資本金

359億2,000万円

売上高

2,178億5,400万円(2023年3月期)

主な事業

小売事業、フィンテック事業をおこなうグループ会社の経営計画・管理など

※2023年9月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 魅力あるフロアづくりのため商業施設への出店申込の敷居を下げる
  • 出店スペース情報の検索から出店契約までオンラインで完結するサービス
  • 新たなテナント層の獲得と出店フローの短縮に成功

DXの動機・背景

株式会社丸井グループは、13の会社からなるグループの持株会社で、小売とフィンテックを基軸としてサービスを展開している。
同社では2022年9月に「DX推進室」を設置し、グループ内のデジタル化推進に取り組んでいる。その取り組みのひとつとして注目されているのが、首都圏を中心に展開している商業施設「マルイ」へのテナント出店申込だ。
マルイでは業界に先駆けて、“体験”や“コミュニティ”を提供する、モノの販売にとどまらない「売らない店」への転換を推進している。魅力的な店舗作りのためには新規テナントの獲得が重要であるが、通常は出店交渉や契約手続きに半年以上かかり、迅速なテナント獲得が難しかった。また、テナントの出店者にとって、問い合わせから出店までのプロセスは煩雑で、時には出店を諦めてしまう事業者も存在していた。魅力的なフロア作りのためには、こうした出店のハードルを解消するとともに、今まで出店が難しかった小規模事業者やEC専業の事業者のリアル出店を後押しする必要があった。

経過・対応・取組内容

オンラインでスムーズな出店契約を完結させるサービス「OMEMIE(おめみえ)」をリリースした。
出店箇所の面積や設備・出店料をサイト上で確認することができ、希望条件に応じた区画の検索も行うことができる。特に出店料は、業界の商慣習から開示していない商業施設が多く、従来であれば直接店舗へ問い合わせる必要があった。必要な情報を自由に閲覧できるほか、メッセージ機能を利用すれば、担当者とコミュニケーションを取ることもできる。出店に係る情報をスムーズに確認できることが、出店のハードルを下げることに繋がっている。

得られた成果

商慣習から開示されないことが多い出店料をあらかじめ開示しているため、出店検討者との賃料交渉が不要になり、出店までの交渉期間の短縮につながった。テナント獲得までの期間の長さが新規テナントを拡充する上での課題だった同社にとっては、大きな成功であるといえる。2022年3月時点の実績によると、OMEMIE経由でのイベント出店のうち、マルイへの初出店が9割、リアル店舗の初出店が5割を占めているとのことで、狙いであった新規テナント獲得、ひいては魅力的なフロア作りに大きく貢献している。

編集部コメント

従来は開示されていなかった情報へアクセスできるようにし、オンラインでの出店契約締結に対応したことで、店舗への出店の敷居を下げた取り組みです。ECやD2Cの台頭を単なる脅威と見るのではなく、リアルな商業施設の魅力づくりのため双方メリットのある形で協調する本事例は、市場の変化を適切に読み取った好例といえます。

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