概要
- 自社でシステム開発を行い、人にしかできない価値を提供できる環境づくり
- デジタル化によって実現したオンライン接客とキャッシュレス化・レジレス店舗
- DXによって得られたデータでさらなる顧客獲得へ
DXの動機・背景
株式会社CRISPは、東京都を中心に20店舗近く(2023年時点)のカスタムサラダレストラン「CRISP SALAD WORKS」を展開している。2014年12月に麻布十番に1号店を開店して以降、「熱狂的なファンをつくる」というミッションを掲げ経営。しかし、インターネットの普及により「料理」や「空間(店舗内装)」が飲食業界において競争優位性ではなくなりつつあった。
そこで、飲食の世界で働く「人」の価値に着目。テクノロジーへ投資し、機械にできることはデジタル化を進め、人間は人にしかできない価値を提供する取り組みを行っている。
経過・対応・取組内容
同社では、大きく2つの取り組みを実施した。ひとつは、CRISP SALAD WORKS店舗での「オンライン接客」導入。店頭にディスプレイを設置して、スタッフが自宅からお客様を接客する仕組みだ。LTV(顧客生涯価値)を指標の軸とし、1人でも多くの「熱狂的なファンをつくる」ことが将来的に大きな価値を生み出すことに繋がると考えた。
もうひとつは、自社オリジナルのセルフレジとモバイルオーダーを組み合わせた完全キャッシュレス・レジレス店舗を2017年から展開。顧客をオンライン化し、多くのデータを蓄積することでファンを増やす目的がある。店舗では、店頭に販売員を配置せず、客が直接冷蔵庫から商品を取り出し、自らQRコードをスマホで読み取り決済する仕組みだ。
得られた成果
オンライン接客によって、顧客がお気に入りの店員を見つける可能性があり、販売員は接客の「見える化」によって正当な評価を受けられる。デジタル化を進めたことで、2020年時点でキャッシュレス比率は85%を超え、6万人以上のアプリユーザーを獲得。今後、50万件以上の購買データの蓄積を活用して、さらなる顧客拡大が狙える。キャッシュレス対応はコロナ禍でさらに需要が増えた。
このような取り組みで売上の70%近くがモバイルオーダーアプリやセルフレジなどのデジタル経由だ。得られた売上データや顧客満足度といった数値は、レストランでの体験価値を上げることに役立つ。
2019年からは開発ノウハウをもとに、飲食店向けのモバイルオーダーシステムの外部提供を開始している。
編集部コメント
株式会社CRISPの取り組みの目的は、一見「人件費の削減」、「完全キャッシュレス化」、「モバイルオーダー」ということだけのように見えますが、それだけではありません。DXを通じて、既存の飲食業界の常識を変えたいという想いがあるからこそ、デジタル化によって得られたデータを公開しシェアすることで、共に成長していこうとする意図が伺えます。