オンラインとリアルを包括したOMO戦略で顧客体験を向上

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1989年(設立)

従業員数

19,009人(臨時従業員等を含む/連結 2022年8月時点)

資本金

67億6,625万円

売上高

4,961億7,100万円(連結/2022年8月期)

主な事業

「無印良品」を中心とした専門店事業の運営/商品企画/開発/製造/卸しおよび販売

※2023年3月時点/公式ホームページより引用

概要

  • リアル店舗とオンラインショップの相乗効果を狙う
  • 公式アプリMUJI Passportと決済サービスMUJI パスポートPayをスタート
  • アプリによって顧客の動向や志向性を掴むことにより、販売の促進に成功

DXの動機・背景

良品計画は「無印良品」ブランドを国内外で幅広く展開している。黎明期である2000年頃からECに参入し、デジタル戦略を推進してきた。無印良品のWebサイトを閲覧する顧客は年々増加しているが、実際に同社のECサイトで購入する人は4割程度にとどまる。同社では「ネットで商品をチェックして店頭で購入している層が存在する」と考え、店舗とネットを別物として捉えるのではなく、2つのチャネルが相乗効果を発揮することが全体の売上にとって重要になると判断。守備領域をリアルな接点にまで拡張するOMO戦略の推進が重要な課題として浮かび上がった。

経過・対応・取組内容

OMO推進のひとつとしてまず挙げられるのが、公式アプリ会員証「MUJI passport」だ。2013年に立ち上げたリアル店舗のレジで「MUJI passport」を使用する顧客は約37%に上る。買い物をすること以外でも、来店前に商品をチェックしたり商品の口コミや改善アイデアなどを投稿したりするだけでも“マイル”が貯まっていく。
また、新たな決済手段として自社開発の非接触型オンライン決済サービス「MUJI パスポートPay」を導入し、レジでの時間短縮を図っている。こうしたユーザーメリットが高い利用率を生み出し、また会員情報に紐づいたデータの収集につながっている。

得られた成果

4年間で1000万のダウンロードを達成した「MUJI passport」により、良品計画はリアル店舗で商品を購入している顧客に対して、オンラインでの行動を把握することが可能になった。「誰が購入したか」わかるだけではなく、買う以前の選択段階における消費者の志向データなどもアプリから得られる。
顧客がどんな情報を求めているのか、どういうタイミングで店舗に来店しているのかなどの分析を行い、それぞれの顧客のニーズに合わせた情報の発信が可能になった。

編集部コメント

良品計画はデジタルメディアの活用によって効果的に購入へつなげており、「日経デジタルマーケティング」の独自調査「デジタルマーケティング100」でも消費行動スコア第1位に挙げられています。本事例ではアプリがオンライン・オフラインの統合的なデータを収集することを可能にしました。しかし単にアプリを提供するだけでは、利用率はここまで伸びることはなかったでしょう。顧客体験を最大化するという前提の設計によって利用率を伸ばし、そこから得られるデータで更に顧客にとって良い体験を作る…という循環にこそ、本事例の成功要因があると言えます。

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