概要
- 全国の印刷会社を束ね、稼働していない印刷機を使って印刷することで低価格化
- 大口案件に依存する構造から非稼働時期を小口案件で収益化する仕組みへ
DXの動機・背景
印刷業界の市場規模は大きいが、その内訳は大手企業数社による寡占に近い。大手からの下請け・孫請け案件や、大手企業が引き受けない案件を多くの中小企業が担っている。そのため大量印刷にあわせた業務構造になっており、また大手からの発注がなければ閑散期となってしまう。このような業界の構造によって、仕事量や稼働状態の偏りが発生し、小口の印刷への対応も難しかった。
経過・対応・取組内容
印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォーム「ラクスル」の提供を開始。全国の印刷会社を束ね、稼働していない印刷機を使って印刷するサービスだ。また通常、刷版と呼ばれる印刷用の板を注文内容ごとに制作するが、複数の注文を一つの刷版にまとめることで低コストを実現し、少部数の注文にも対応できるようにしている。
得られた成果
「ラクスル」によって印刷会社には大手からの発注がないタイミングでも収益を得ることが可能になり、発注者は低価格で印刷物を発注できるようになった。提携している印刷会社には売上が4倍になった企業もあるという。
編集部コメント
業界の構造に着目し、稼働の閑散期をシェアすることで稼働率を向上させた事例です。複数社をネットワーク化し、非稼働時間を融通しあうことで需要と供給を適切にマッチさせる仕組みを作るというビジネスアイデアです。