概要
- 町工場が連携して仕事をする仕組み「仲間まわし」をデジタル化
- ワンストップで相談や発注が可能なプラットフォームへ
- 受発注の拡大が見込まれ、今後は全国への拡大を視野に
DXの動機・背景
東京都大田区は国内屈指の工業地域であり、得意とする加工工程や技術を持った小規模の町工場が集まっている。大田区の製造業には「仲間まわし」と呼ばれる、独特のネットワークが存在する。一つの工場が請け負った案件に対して、複数の工場が連携し、それぞれの工程を担うことで短納期や難易度の高い加工を実現している。大田区の中小製造業者で組織するI-OTA合同会社らは、電話やFAXなどのアナログなコミュニケーションで成立してきたこの仲間まわしを、デジタルプラットフォームへと拡大することで、より高度なものづくりの実現を目指した。
経過・対応・取組内容
I-OTA合同会社、株式会社テクノア、大田区、公益財団法人大田区産業振興協会の連携により、仲間回しと受発注をデジタル化したオンラインプラットフォーム「プラッとものづくり」をオープンさせた。ものづくりの発注をしたい発注者は、企画・設計段階からでもオンラインで相談することができる。参画企業(中小製造業者)は“グループ”をつくっていて、“グループ代表”となる企業が窓口役となることで、持ち込まれた相談に対して仲間回しを行う仕組みになっている。このため、相談に対して各参画企業から一斉に回答がくるようなことはない。参画企業は案件ごとに見積内容など情報管理ができ、いままでアナログに行われていた仲間回しをオンラインで効率的に行える。また、保有する技術から製造業者を検索したり、協力依頼をしたりできるので、ヨコつながりの創出にも貢献している。
得られた成果
受発注がワンストップで可能になったことに加え、案件の対応の幅がひろがったり、最適なビジネスパートナーをつくったりすることが可能になる。今後は大田区内の連携に留まらず、2023年以降は国内の他地域でも参画できるように拡大していくとのことだ。
編集部コメント
製造業は、いわゆる町工場を含めた小規模事業者が特に多い業界です。一社ごとのリソースや対応範囲には限りがありますが、それぞれが連携することで高度なものづくりを実現しよう、という取り組みの事例です。