概要
- 特に小規模飲食店では仕込み作業が利益率を圧迫
- アプリで仕込み済み食材の発注ができるサービスを開始
- 仕込み作業の削減で人件費率が低下し、利益率が向上
DXの動機・背景
飲食業界では、長年に渡って「長時間労働」と「人件費の高騰」が大きな課題であった。これらの要因のひとつが「仕込み作業」だ。時間と人員を大きく割かれる仕込み作業は、飲食店業務のなかでも特に比重の多い業務で、この仕込みのためにランチ営業ができない飲食店が存在するほどだ。仕込み作業を外注する方法もあるが、一般的な食品加工工場では、仕込み作業は大ロットでの発注になるため、小規模の飲食店が利用することは難しかった。
経過・対応・取組内容
株式会社シコメルフードテックはアプリで仕込みの代行・仕込み済み商品の発注ができる「シコメル」をリリースした。セントラルキッチンを持たない小規模飲食店でも、仕込み作業を外注できるサービスだ。飲食店オリジナルのレシピをシコメルに共有し仕込みを発注することができる他、有名レストランやシェフが監修したメニューの仕込み済み商品の発注も可能だ。また複数の仕入先への受発注管理を一括して行うことも可能だ。シコメルのアプリを通して仕込みが依頼された商品は、提携する食品工場で加工され、飲食店に直接配送される。
得られた成果
アプリのダウンロード数は1万以上、登録店舗数は2,700店舗に到達した。導入店舗は仕込み作業の負担を軽減できたことに加え、発注作業を簡略化できたり、中にはキッチンスペースを省略化することができたことで、家賃率が引き下げられたりした飲食店もあるという。
編集部コメント
小規模飲食店では難しかった、仕込み作業の外注化を実現した事例です。他業界での取り組みからインスピレーションを受け、仕込み作業を行う食品工場を複数束ねて飲食店とつなぐという構想から本サービスが生まれたとのことです。飲食店は経営上、人件費や家賃などの固定費の比重が大きくなりやすい構造です。仕込み作業をアウトソース化することで、人件費の(あるいは調理設備の簡略化で家賃すら)削減ができることで、利用する店舗の利益率向上に大きく貢献しています。