ダイナミックプライシングでスーパーの食品ロス削減

企業名

株式市場

非上場

創業

1933年(設立:1957年)

従業員数

687人(2020年3月時点)

資本金

3,000万円

売上高

124億万円(2020年2月期)

主な事業

総合スーパーマーケット(1店)
食品スーパーマーケット(9店)
衣料専門店(1店)
コンビニエンス(4店)
書店(1店)
シャンリー唐津(中国料理店)(1店)

※2023年10月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 食品ロスは社会的もビジネス的にも大きな課題
  • 二次元コードを活用してダイナミックプライシングを実験
  • 廃棄率0%を実現、課題はあるものの今後の活用が見込まれる

DXの動機・背景

農林水産省によれば、令和2年度の国内食品ロス量は年間522トンにのぼり、そのうち約半分の275トンが、食品関連事業者等から発生する事業系食品ロスだ。食品ロスは事業者の利益を圧迫するうえに、近年ではSDGsの観点からも重要な経営課題として解決のための取り組みが盛んだ。食品ロスを削減する(小売業にとっては“売り切る”)ためには、賞味期限・消費期限という制約のなかで、いかに効率的な在庫管理と価格設定をするかが重要になってくる。そうした観点から「ダイナミックプライシング」が注目されている、

経過・対応・取組内容

経済産業省では、流通・小売分野でのサプライチェーン効率化を目指す一環として、まいづるキャロット浜玉店にてダイナミックプライシングを導入する実証実験を行った。入荷時に二次元コードを商品に貼り付け、専用ツールと連携させることで、賞味期限・消費期限別に店内の商品在庫を管理する。あらかじめ設定された値引きのルールに基づいて1日複数回自動で価格改定が行われ、改定価格は電子棚札とPOSシステムに自動連携される仕組みだ。

得られた成果

実証実験開始3週目には食品ロス削減の効果を示し、廃棄率は0%に低下した。消費者の理解に時間を要したことや、値引き商品が拡大したことで売上高が若干減少した、といった課題は発見されたものの、継続活用することで、最適な値引きタイミングや価格変更ルールをデータで予測することができるようになると考えられる。食品メーカーと商品の売れ行き状況を共有することで、製造量を最適化し、過剰な製造を押さえることで更にフードロスの削減に貢献できる可能性も期待されている。

編集部コメント

ダイナミックプライシングは、一般的にはテーマパークのチケットや航空券・ホテルなどで適用されることが多い手法です。小売店では扱う商品数が多く、あわせて電子棚札などが必要なため、導入にはひと工夫が必要ですが、食品という賞味期限・消費期限にあわせて値引きが発生しやすいという特性は、ダイナミックプライシングの採用を検討するだけの十分な理由だと言えます。

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