AI活用で水産加工の熟練職人並みの作業が可能になる

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1970年

従業員数

1,409人(連結:2023年3月時点)

資本金

39億5,190万円(2023年3月時点)

売上高

主な事業

■店舗施設の制作事業/立地調査、ビル設備調査、企画、設計、施工
■商業施設の制作事業/建築設備、内装監理業務、大店立地法調整、設備設計、施工
■食品工場・物流倉庫の制作事業
■メンテナンス事業
■省エネ・CO2削減事業
■建築事業、建築設備事業、冷凍冷蔵設備事業(エンジニアリング事業)

※2023年6月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 水産加工の人材不足と生産性の低下の問題を、DXで解決に取り組む
  • ホタテの質量を自動推定する「AI セレクタ」の開発に成功
  • 「AI セレクタ」の導入により、新人でもホタテのパック詰めが可能に

DXの動機・背景

株式会社ラックランドは、1970年の創業以降「食」に関わる商業施設・店舗の設計および商空間制作を手がけてきた企業。2020年には、経営が傾いた宮城県石巻市の水産加工会社を引き継ぎ、株式会社ハイブリッド・ラボを設立した。
ハイブリット・ラボが引き継いだ事業では、ホタテやカキなどを取り扱っていたが、主力商品の一つであるホタテのむき身は、経験を積んだ職人によるパック詰めが必要で、工場の数に対して職人が不足しており、生産力の低下が問題視されていた。同社はデジタル技術によってこうした問題の解決を試みた。

経過・対応・取組内容

ラックランドは、ハイブリット・ラボおよびコンサルティングファームである株式会社O2と共同で、ホタテ貝柱の質量をAIで自動推定する「AI セレクタ」の開発を行った。従来ホタテのパック詰めは、経験を積んだ職人による目利きで、質量ごとの仕分けが行われていたが、「AI セレクタ」の導入により、トレーに並べられたホタテをAIが自動で質量判定をし、色分けで表示することで、簡単にホタテの質量を判別できるようになった。

得られた成果

「AIセレクタ」の導入により、これまで熟練の職人の技量が必要だったホタテのパック詰めを、その日に生産ラインに入った初心者でも行えるようになり、人材不足、生産性の低下の問題を一挙に解決した。AIによる判別は、ホタテの鮮度を低下させる原因である「人の手で触れる」という行為を最大限まで減らすことにも繋がる。また「AI セレクタ」は、ハイブリット・ラボでの実証実験を経て、サブスクリプション形式で提供を開始した。初期費用を抑えることで、中小企業でも利用しやすい。

編集部コメント

熟練技術を持つ職人の減少は、様々な産業で課題です。AIによるサポートによって、こうした人材の減少をフォローする取り組みは、水産加工業以外でも広く試みられています。

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