属人性の高い業務全般を改善、DXで負担削減と生産性向上

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1959年

従業員数

2,954人(連結/2022年12月時点)

資本金

50億2,237万円

売上高

2,464億53百万円(連結/2022年12月時点)

主な事業

プロツール(工場用副資材)の卸売業及び自社ブランドTRUSCOの企画開発

※2023年3月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 属人性の高い業務が抱える問題を解消するためのDX
  • すべての業務をデジタル技術によって自動化することで、素早くミスの無い供給を可能にした
  • 属人性の脱却による従業員負担の軽減・生産性の向上に成功

DXの動機・背景

トラスコ中山株式会社は、モノづくり現場で使用されるプロツールの専門商社だ。数多くの営業拠点を構える同社では、毎日5万件ほどの見積もり依頼を、すべて営業担当者が手作業で対応。従業員の負担が大きく、顧客への回答にも時間を要しており、手間や時間の割に受注に至る割合も低かった。
在庫管理においても、物流倉庫の購買担当者が月次販売実績を元に勘と経験から需要を予測。Excel等を使用して発注業務を行っていた。このため、欠品による機会ロスや納期遅れなどのミスが発生していた。
業務の属人性脱却及び効率化のため、同社はDX施策をKPI化し、リアルタイムで経営戦略に反映。複数業務のDXを推進した。

経過・対応・取組内容

同社は「徹底的に業務を自動化する」ことをコンセプトに、複数の業務の自動化を実施した。
見積もり業務については、AIによる自動見積もり機能を導入。顧客が専用サイトで見積もり依頼をすると、数秒程度で見積もり内容が表示される仕組みだ。
物流機能については、在庫管理システムを使用した。このシステムはプロツールを使用する工場等の現場に隣接し、よく使われるものを棚に取り揃えておく「置き薬」の仕組みで稼働する。IT技術と高度データ分析によってユーザーに必要な商材を在庫化し、即納品を可能とした。発注はインメモリデータベースを基盤に、注文実績からデータ分析し需要を計算して行われている。

得られた成果

自動見積もり機能の導入により、従来数時間から1日程度かかっていた回答時間が数秒に短縮。従業員の業務時間及び負担が軽減し、在宅勤務可能な環境も構築された。素早い回答により成約率も向上した。
在庫管理では、必要な時に必要な分の商品提供が可能となった。属人性の脱却により、在庫管理業務にかかる作業時間が軽減。欠品も無くなり、即納体制も強化された。正確なデータ分析により、「欠品しない」かつ「過剰在庫なし」を両立できたのも成果のひとつだ。
2022年12月時点でのシステム受注率は85.2%。従業員の残業は増やさず、1人当たりの売上高向上を実現した。
同社は「DX銘柄2020」においてDXグランプリを受賞した。

編集部コメント

同社は、従業員の負担が大きくミスが起こりやすい属人性の業務を、デジタル技術とデータ分析によって自動化し、従来の課題を解決しました。会社全体を挙げてのDX推進への取り組みは、サプライチェーン全体の利便性向上に繋がる業務改革です。

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