百貨店が提供するブランドファッションのサブスクリプション

企業名

株式市場

非上場

創業

2010年

従業員数

資本金

100億円

売上高

主な事業

百貨店業

※2022年12月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 月額利用料の支払いで毎月ブランド服を選択してレンタルするサブスクリプション
  • オンラインですべて完結、気に入った服は購入も可能
  • 既存のシステムから完全に独立した、コスト・納期を抑えたシステム構築手段

DXの動機・背景

90年代をピークに、百貨店業界の売上規模は長期の苦戦が続いている。その原因は人口減少やライフスタイルの変化、ショッピングモールやECといった競合の台頭など要因は様々だ。こうした中、百貨店の強みであるブランドとの交渉力を活かしつつ新たな収益モデルを実現したのが、大丸松坂屋百貨店だ。

経過・対応・取組内容

大丸松坂屋百貨店は月額サブスクリプション制のファッションレンタルサービス「Another ADdress」を開始。会員は毎月3着の服を、国内外50ブランド(リリース当初)のうちから選択してレンタルできる。システムは既存のシステムから完全に独立した形で構築し、ECパッケージのカスタマイズやASPの利用により短期・低コストでの開発を実現。Web上ですべて完結するサービスのため、データをもとに問題点の可視化・継続したサービスの改善を実行。また服にRFIDを縫い付けて取扱商品を管理している。

得られた成果

当初は1,000人の会員登録を目標としていたものの、事前登録の時点で約4,000人を達成するほどの反響を得た。一時的にレンタル権発行を停止するも継続して会員登録数は伸び続けて、メッセージアプリによる顧客コミュニケーションをベースにしたCRM体制により解約率は月平均1%を下回る。反響を受け、廉価なライトプランを開始したり、取扱いブランド数を強化したりしている。ブランドに興味があるものの手が届かない、接点がない層に対し、エントリーサービスとしての体験を提供することに成功している。

編集部コメント

消費行動・社会情勢の変化によって百貨店業界も大きな変革を迫られています。その中において小売としての「モノを売る」行為からストック型の収益を確保できるサブスクリプションサービスをローンチしたことは斬新な試みです。一方で百貨店ならではのブランド交渉力や、顧客層へのブランド体験の入り口を提供することなど、非常に合理的な設計になっている点は、自社の強みを最大限発揮した設計と言えます。
本事例にはターゲット設計やサスティナブルなモデルへの転換など、様々な面で参考にできる要素があります。

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