3DモデルとARを活用した産業・建設機械の修理補助アプリ

企業名

株式市場

東証プライム

創業

1890年

従業員数

50,352人(連結:2022年12月時点)

資本金

841億円

売上高

26,788億円(連結:2022年12月時点)

主な事業

(農業・産業機械、水環境インフラ等)

※2024年1月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 販売パートナーによる産業機械・建設機械の修理を効率化
  • 3DモデルとARを活用した機械の故障診断アプリを開発
  • 米国で先行実施、販売パートナーからも好評

DXの動機・背景

生活に欠かせない食料・水・環境を事業領域として、多様なソリューションを提供する株式会社クボタ。事業の一つである機械事業では、販売パートナーを通して産業機械や建設機械(以下機械)を世界中に提供している。これらの機械が故障した場合、販売パートナーのエンジニアが現地で修理や故障原因の調査を行う。故障原因の特定はマニュアルに基づくものの、作業者の経験に依存するため特定するまでの時間がかかり、故障箇所の位置特定も容易ではない。このため、機械の停止時間が長引き、ユーザーの収益に影響を及ぼしている。この問題を解決するため、故障診断プロセスの効率化がクボタにとって大きな課題となっていた。

経過・対応・取組内容

この課題に対処するため、株式会社クボタは「Kubota Diagnostics」という新しいアプリを開発した。このアプリは、販売パートナーのエンジニアが故障診断を行う際に、3DモデルとAR技術の活用によって、機械の故障診断を支援する。エンジニアが機械に表示されるエラーコードや不具合症状をアプリに入力すると、点検すべき箇所や修理方法が自動的に表示される。さらに、スマートフォンのカメラを機械にかざすと、バーチャル画像で修理箇所が表示される機能も搭載されている。特に米国ではクボタの販売歴が日本国内に比べ短く、修理ノウハウが十分に蓄積されていかったので、本アプリは米国で先行リリースされた。

得られた成果

このアプリの導入によって、故障診断や修理作業が格段に容易になり、クボタの機械修理研修を受けていないエンジニアでも、迅速に修理対応が可能となった。さらに、クボタはこのアプリを通じて故障データを収集し、その情報をアフターサービスの質の改善と向上に活用している。この取り組みは販売パートナーからも高く評価されており、米国外での展開も積極的に検討されている状況だ。

編集部コメント

広大な販売網と多数のパートナーを抱えるビジネスにとって、知識や技術をいかに標準化するかはサービス水準を維持するためにも重要な課題です。このような課題への対応は、従来はマニュアルと研修が主流でしたが、本事例のように、人材へのインプットではなくデジタルデバイスやアプリで補助するというアプローチも増えています。

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