概要
- 毎月新商品が投入される総数70種類ほどの惣菜のレジ打ちが従業員の負担
- レジ打ち改善のため総菜の品目をAIが判断し値段を自動で算出するシステムを開発
- AIの画像学習と実用時の誤認識修正により高い判定精度を実現
DXの動機・背景
株式会社大津屋が経営するコンビニエンスストアでは惣菜の量り売りが主力商品だ。売り場には約70種類の惣菜が並び、毎月新商品も投入される。これらが売上の約6割を支える一方で、レジ担当者にとっては価格の記憶、量り売り特有のオペレーションが負担であり、離職率に影響するほどであったという。このレジ打ち負担軽減策として価格設定のパターンを絞っていたが、惣菜それぞれに細かく価格設定しないことによって原価とのギャップが生まれるものもあり、結果として売上に影響を及ぼしていた。
経過・対応・取組内容
深刻な「レジ打ち負荷問題」に対して、同社は量り売り総菜の品目と値段をAIで自動で算出する「AI総菜会計システム」を開発した。総菜を秤に載せると、AIを搭載したカメラが品目を判別し、1グラムあたりの価格と重さのデータをPOSレジに送信する。AIによる品目の認識が正しくない場合には、担当者が手打ちで修正することにより学習精度を高めていく。また、新商品の投入時には事前にAIに30~40枚程度の学習をさせ、販売のタイミングで実用できるようにしている。
得られた成果
惣菜のレジ打ちは認識された品目が誤っていないかを目視するだけで済むようになり、負担は大幅に軽減された。新人教育のコストが大幅に低下したことに加え、外国人でもレジ打ちを担当することが可能になったという。また価格のパターン化によってオペレーションを簡略化する必要がなくなり、適切な価格設定が可能になったことで原価とのギャップも是正された。蓄積した販売データは販売予測やメニュー開発への活用を模索している。
編集部コメント
食品、特に本事例のような量り売り惣菜の場合は、AIによる画像認識は簡単ではありません。例えば容器への盛り付け方、量の過多、食材の偏りによって“見た目”は大きく異なるからです。事前にAIに学習させる・実用の段階でレジ担当者が誤認識を訂正する、という一連の運用が、本件の成功を支えているひとつの要因と言えます。