5Gでスマートファクトリー化に向けた地方製造業の実証実験

企業名

株式市場

非上場

創業

1967年

従業員数

122人

資本金

7,500万円

売上高

主な事業

半導体製造装置関連部品製造
航空宇宙関連部品製造
各種精密機械部品製造
研究開発支援

※2023年4月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 製造業の技術継承を可能とするスマートファクトリー化
  • NTT西日本と共同でローカル5Gを活用した実証実験を実施
  • IoTを駆使したリモート作業支援で業務時間削減効果を確認

DXの動機・背景

ひびき精機は、半導体製造装置をはじめとする精密機械の金属部品を製造している。“IoT”の概念が生まれる前から業務効率化や生産性向上、職人技の継承を目指して工場のデジタル化に取り組み、売上や事業の拡大といった成長につなげてきた。
その過程で、工場内の有線LANがレイアウト変更に支障をきたすこと、また稼働状況を共有するために接続している工場間のWi-Fiの通信速度が遅いという問題が発生していた。そこで、同社は将来的な無人化を視野に入れ、高速大容量通信が可能なローカル5Gを活用した工場のスマート化に着手した。

経過・対応・取組内容

目標実現に向けてまず行ったのが、実験場として利用する第三工場の新設と、ローカル5G用無線局の予備免許取得だ。
2020年には、NTT西日本と共同でローカル5Gのネットワーク上でIoTやAIを活用する実証実験を実施。実験では計画どおり、ローカル5Gの電波特性や工場間の大容量データ通信の高速化、スマートグラスを駆使した遠隔監視による業務の効率化・技術の伝承などを検証。さらに遠方の取引先に向けたリモート工場見学・監査に関しても、360度映像配信を活用して実現の可能性を模索した。

得られた成果

NTTとの共同実験は大きな注目を集め、ローカル5Gを活用したスマートファクトリー構築の優れたモデルとして「ものづくり日本大賞」の中国経済産業局長賞を受賞。2023年2月現在、本格的な実用化には至っていないが、実験を通して遠隔での監視・作業支援による最大30%の業務時間削減効果を実証した。
また、直接の成果ではないものの、第三工場新設を契機としてDXに対する従業員の意識が高まった。タブレット端末で企業情報やマニュアルを即時共有できるシステムを開発した結果、現場の声がよく伝わり社内の風通しが良くなったという。

編集部コメント

スマートファクトリーの実証実験は、「これまで守ってきた五感を使ってのものづくりは変わらない」という考えを前提に実施されました。本件は、DXによって職人の技工が生み出す価値をアップデートした先進的な取り組みと言えます。

 本記事についての情報提供やご意見・ご指摘等ございましたらこちらのフォームより「その他のお問い合わせ」にてお知らせ頂けますと幸いです。