概要
- 資料管理をペーパーレス化して業務の効率を向上
- 基幹システムとストレージ、チャットツールの連携
- 社員ひとりひとりの面談を通じてツールを浸透させる
DXの動機・背景
城善建設株式会社は、和歌山県を中心に建設業を営んでいる。事業内容は建築・設計のみならず、宅地・店舗開発コンサルティングにまで及ぶ。
働き方改革に伴う法改正以前、同社では物件情報、顧客情報、見積もりなどのデータを紙の書面で管理していた。保管場所に逐一移動して資料を探す手間がかかるうえに、業務ノウハウの蓄積ができておらず、人材確保の面でも課題を抱えていた。
そこで同社が取り組んだのが、3つのツール・システムを活用した業務改革だ。
経過・対応・取組内容
3つのツール・システムとは、建設会社向けの基幹システムとクラウドストレージ、ビジネスチャットツールだ。まず基幹システムとクラウドストレージを連携させてあらゆるデータを一元管理し、タブレット端末でどこからでもアクセスできるようにした。チャットツールもクラウドストレージと連携し、社内メールの代替として利用することで、業務連絡を簡略化する。チャットツールであればマルウェア感染も防止できる。
システムの普及に向けては、社員一人ひとりのITリテラシーに応じた面談形式の社員教育を行った。
得られた成果
細やかな社員教育が功を奏し、年齢やスキルにかかわらずシステムを使いこなすようになった。データのクラウド化により、紙の使用枚数を1ヶ月あたり約8,500枚削減。資料管理業務が大幅に効率化されたことで、総務・経理部門における約2時間の残業常態化が概ね解消され、受け持ち現場数や顧客数が増加した。
こうした取り組みは実益を伴うクラウドサービス実践事例として評価され、「全国中小企業クラウド実践大賞 全国大会」で総務大臣賞を受賞した。
編集部コメント
本事例を成功に導いた最も重要なポイントは、システムを定着させるまでの慎重さと言えます。システムの導入後は、従業員の最も嫌う、現場の手を止めての集団説明会・勉強会を避け、定着のハードルが最も高い人から、一人ひとりに飛び回ってレクチャーを進めたとのことです。一見泥臭くも思えますが、こうした社内の力学を理解する“営業力”がシステムの浸透には不可欠です。