那須エリアのサイクリング・観光体験をデジタルで向上

企業名

株式市場

創業

2022年

従業員数

資本金

売上高

主な事業

※2023年12月時点

概要

  • 需要はあるが利便性に欠けるサイクリング・観光体験を改善
  • サイクリング情報や地元サービスを発信する会員制サイトを開始
  • 「地域」として一体となったサイクリング・観光体験を実現

DXの動機・背景

栃木県の那須エリアは、その豊かな自然と気候で、サイクリングを満喫できるスポットとして、愛好家からは注目を集めていた。サイクリングツアーの運営会社や、サイクルロードレースのプロチームも存在するほか、自転車のロングライドイベントも開催されていて、自転車を活用した観光(サイクルツーリズム)への取り組みも盛んだ。しかし、これらを主催する事業者と、地域の宿泊施設や飲食店が十分な連携ができていないことで、利便性の面では改善の余地があった。また、折々のイベントやプロモーションが盛んな一方で、サイクリングコースの整備や、地域一体としての情報発信が不十分なことも課題だった。これは、来訪者の興味・関心や行動についてのデータを集約しておらず、それぞれの事業者が持ちうる範囲の情報で、個々に施策を実施していることが一因だ。結果として、那須エリア来訪者の滞在時間が延びず、地域での消費拡大に繋がりづらい状況になっていた。

経過・対応・取組内容

2022年に設立された「那須地域サイクリングDX推進コンソーシアム」は、観光客とサイクリングを結びつけることで、地域全体のリブランディングと、自走可能なファンマーケティングの実施を目指した。

まず行ったのが、那須のサイクル関連事業者や宿泊施設、飲食店などの情報を一元的に提供する会員制サイト「NasuCycling.net(ナス・サイクリング・ネット)」の構築だ。このサイトでは、サイクリングコースの検索や予約、宿泊施設や飲食店の検索、クチコミの閲覧などを行うことができる。海外で普及している、ガイド無しで行う「セルフガイドサイクリングツアー」にも対応している。
予約や決済をオンライン上で行えるようにしたことで手続きの煩雑さを解消し、サイクリング体験自体の向上を図っている。

また、情報発信や予約・決済機能をひとつのプラットフォームに集約したことで、サイクリストの動態や利用者の満足度に関するデータを収集・分析できるようになった。これらのデータを活用することで、サイクリストのニーズや課題を把握し、より体験の質を向上させたり、サイクリストを呼び込むための施策立案につなげたりすることが期待されている。

得られた成果

「NasuCycling.net」の利用者数は、2022年4月のオープンから2023年3月末までに、約10万人に達し、それに伴って、サイクリング体験ツアーの予約数も約2倍に増加している。
本取り組みはその内容から、デジタル技術を活用して観光地経営を改善する取り組みを支援する、観光庁主催の「DXの推進による観光・地域経済活性化実証事業」に採択されている。

編集部コメント

観光やレジャーでは、地域全体として体験を創出していくことで、来訪者の滞在期間を長くし、結果として消費の促進につなげることが重要です。個々の企業やプロモーションが散発的に活動するよりも”街”という総体としてどのような体験を作っていくか、という観点では、共通のプラットフォームを作ったり、データを共有したりすることは大きな意義があります。

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