概要
- 過去の失敗を踏まえて現場目線のクラウド化を目指す
- 現場との対話を経て業務改善プラットフォームを導入
- 年間約400万円の削減と1,000時間の残業削減
DXの動機・背景
相互電業株式会社は、創業から60年以上、地域に根ざした電気工事業を営んでいる。社員の働き方の改善や仕事の脱属人化、顧客対応力の向上を行うことで、これから先70年、80年、100年と存続し続けることを目指している。
同社では以前、クラウド化を進めるためにツールを導入したが、導入目的が従業員に理解されていなかったことや、経営者視点で作られたシステムだったことなどが原因で、ツールを十分に活用できなかったという。
そこで同社では、複数のアプローチを通して、業務改善プラットフォームの導入について従業員の理解を深め、現場の視点を取り入れたクラウド化を進めることにした。
経過・対応・取組内容
まず行ったのが、「システム移行プロジェクト」と銘打った話し合いだ。現場の声を拾うため、雑談を通して業務に関する要望や不満を聞き取っていった。システム導入に反対する従業員とも十分に話し合い、1人あたり2時間を費やすこともあったという。
また急進的なクラウド化によって現場に混乱を招くことを避けるため、ワークショップを開催して業務改善プラットフォームを実際に体験させながら、従業員一人ひとりの意見の吸い上げを行った。
デジタルに苦手意識を持つ従業員にも配慮し、操作方法の補足説明を独自に入れることで、入力のハードルをできるだけ下げた。
得られた成果
当初は業務改善プラットフォームの導入の賛成者は全体の3分の1ほどしかおらず、現場の課題とツール導入で実現したい理想にズレがあったことから、ツールの全社的な活用には至っていなかった。しかし、話し合いやワークショップを重ねることで認識が統一され、ツールの活用によって社員全体の業務時間が年間で1,000時間も削減されるまでになった。
さらに、システムが集約されたことで経費が年間で約400万円削減された、情報共有のクラウド化で顧客へのスピーディーな対応も可能になった。
編集部コメント
業務やスキルが属人化している環境では、瞬間的には業務が回っており、ミクロな視点では最適化されていることが多いため、一人ひとりの従業員にとって標準化や情報共有のメリットが理解されづらいことも多いです。本事例では、過去の経験から認識のギャップを埋めることの重要性を理解し、解消に努めることでデジタル化・クラウド化を成功させたと言えます。