IoTで電気工事の「見て覚える」習慣を脱却、新卒採用も活性化

企業名

株式市場

非上場

創業

1945年

従業員数

資本金

2,000万円

売上高

主な事業

一般電気工事業、電気通信工事業、消防施設工事業

※2023年3月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 人手不足の解消と技術の継承、労働生産性の向上を目指す
  • IoTを活用して会社と現場の無駄な往復の削減とスムーズな情報共有に成功
  • 業務負担解消に加え教育の習慣が変化、新卒採用の活性化が実現

DXの動機・背景

大鎌電気株式会社は電気工事を専門とする会社であり、公共施設から病院、学校、工場商業施設から個人住宅まで幅広くその技術を提供している。今以上に事業規模を拡大するために、従業員の数を増やして技術を継承させ、労働生産性を上げることを目指している。
しかし、実際には熟練の技術者に業務負担が集中しており、技術に関しても「見て覚える」という風習が定着していた。そのため、働きやすさを重視する若手の目にはとまりにくく、技術者の育成にも膨大な時間がかかっていた。
そこで同社では、従業員の業務負担の平均化と技術の効率的な継承のため、デジタル技術の活用に取り組んだ。

経過・対応・取組内容

技術者の負担を抑えながら技術を継承させる手段として、スマートグラスを導入した。カメラ・モニター・イヤホンが内蔵されており、ハンズフリーに対応しているため、技術者はスマートグラスを装着して作業するだけ。作業状況の映像や音声はライブで本部に届き、熟練の技術者がリアルタイムで指示を出せる。
さらに、作業員の無駄な会社と現場の往復をなくし、情報共有をスムーズに行うために、現場にいながらにして、図面の確認や事務作業などができるアプリも導入した。

得られた成果

スマートグラスの導入で、必要に応じたタイミングで熟練の作業員からの指示を受けられるようになった。それにより、実際に手を動かしながら技術を継承することや、これまで熟練の作業員に集中しがちだった負担の平準化が可能になった。
さらに、スマートグラスやアプリの導入、デジタル化によるペーパーレス化などが進んだことが新卒者の関心を集め、応募する者が増えるという好影響があらわれた。実際に、2020~2021年に入社した社員9人中7人が、入社のきっかけがIoT機器やデジタル技術の導入だったと述べている。

編集部コメント

同社では、デジタル技術をうまく取り入れることで、熟練の技術者は若手へ技術を教え、若手はシステムの使い方をベテランに教えるという教え合う文化が生まれたと言います。新しいシステムやツールは、ベテラン層にとっては受け入れるハードルが高い場合も多いです。世代間でうまくフォローしあえる組織づくりも、DXを目指す上で重要な観点です。

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