老舗酒造店がデジタル化で夜勤を廃止、酒造りもアップデート

企業名

株式市場

非上場

創業

1870年

従業員数

54人

資本金

3,000万円

売上高

12億円

主な事業

清酒製造・販売

※2023年4月時点/公式ホームページより引用

概要

  • 高品質な酒造りと時代に即した働き方を目指す
  • 自動管理システムを導入することで夜間労働を廃止
  • 初の男性社員による育休取得を実現

DXの動機・背景

有限会社渡辺酒造店は、創業150年を越える老舗酒造店だ。世界各国のコンクールで入賞したり、ANAのビジネスクラスで採用されたりするほど高品質の清酒を作り続けている。
品質にこだわった清酒を作るには、従業員の働きやすい環境作りも重要だ。同社では酒造りという伝統的な産業においても、働き方のアップデートを図っている。そのひとつが夜勤労働だ。
酒造りではこうじともろみの発酵温度管理が必要となるため、酒造り期間には夜勤労働が発生し、例年9月から翌年6月までは酒造り担当13名のうち8名が夜勤労働を行っていた。制度上、有給を活用した長期連休取得が可能だが、現実として夜勤労働との兼ね合いが難しかった。そこで夜勤労働の廃止を目指し、酒造りのDX化に取り組んだ。

経過・対応・取組内容

夜勤労働を必要としていた、こうじともろみの温度管理を自動化するために、自動で温度を管理する機能が備わったシステムを導入した。タンクに設置されたシステムによって、遠隔で温度のチェックが可能になり、深夜労働の廃止に踏み切ることができた。

得られた成果

こうじともろみの温度管理自動化システムを導入した結果、2019年9月から2020年6月までの酒造り期間中において男性社員の育児休暇取得が可能な職場となった。実際に同社の社員が育児休暇を2020年3月22日から4月11日までの21日間取得している。
こうしたシステムを導入することで作業の効率化だけでなく、従業員満足度の向上にもつながる結果となった。同社は「男性社員の育児休暇率100%」を宣言、時代にあわせてアップデートされた職場環境の整備に努めている。

編集部コメント

同社は本事例の他、ユニークな製品づくりやマーケティング施策でも、たびたび話題に挙がります。伝統産業でありながら企業文化そのものをアップデートしていく同社の代表の牽引力は、デジタル化を進める上で突破力がいかに大切かを学ばされます。

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