概要
- 牛の繁殖は人の目で観察し続ける必要があり、負担が大きい
- 牛に取り付けたセンサーが発情兆候などを計測し、AIが異常を検知して通知
- 牧場運営に関する情報を管理するシステムによってデータの可視化と蓄積
DXの動機・背景
酪農のなかでも、とりわけ牛の繁殖は手がかかる。一般的に行われる人工授精は牛の発情のタイミングを的確に狙う必要があり、その兆候を逃さないためにも日々の観察が欠かせない。牛の状態によって臨機応変な対応が求められる上に、適期だと判断するタイミングが担当者によって異なることさえある。株式会社ファームノートは生き物を扱う牧場経営、とりわけ繁殖を、牛の活動状況の見える化によって効率化することを目指した。
経過・対応・取組内容
AIを活用した牛の活動データ計測ウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を開発した。牛に取り付けるセンサーによって発情兆候や活動低下・起立困難・分娩兆候を計測する。AIによって計測データの異常を検知すると、PCやスマホにリアルタイムでプッシュ通知を送る仕組みによって、常に人の目で観察することなく適期を認知できる。またこうした繁殖に関する情報の他、従業員の業務予定や牛への処置履歴をクラウド型システム「Farmnote Cloud」で管理・共有することで、ノウハウの属人化を解消し人材育成に役立たせる。
得られた成果
牛の体調や発情がデータとして見えるようになったことで、平均空胎日数が20日短縮、年間分娩頭数が9頭増加するケースも見られた。売上に換算するとおよそ540万円/年間に相当するという。
編集部コメント
畜産業のように人の目で観察する必要があったり、経験による判断を要したりする分野では、データによる可視化で大幅な効率化が見込める可能性があると実感させられる事例です。