概要
- タブレットを介した服薬指導および薬剤服用歴の作成が可能なクラウドサービス
- より患者と緊密なコミュニケーションを取れる薬局の姿への転換をサポート
- 経営データの見える化、AIによる医薬品発注の最適化機能も搭載
DXの動機・背景
従来、薬局の役割は薬を迅速かつ適切に渡すことであったが、2015年に厚生労働省が提起した「患者のための薬局ビジョン」において、患者一人ひとりに向き合うことが提唱され、より個別の患者に密着したコミュニケーションを介して価値を提供する薬局の姿へと転換を迫られている。一方で薬剤師には薬用服用歴の作成をはじめとした事務作業も存在する。薬の提供後、患者との会話を思い出しながら処方内容や服薬指導内容を記録する作業の負荷は大きい。このため株式会社カケハシは、薬局の業務を効率化しつつ患者の満足度の向上が図れるサービスを立ち上げた。
経過・対応・取組内容
同社が開発した調剤薬局向け服薬指導支援システム「Musubi」は、専用タブレットで患者への服薬指導を行いつつ、薬剤服用歴の作成が可能なクラウド型サービスだ。服薬指導の際、会話のきっかけとなる患者ごとにパーソナライズされた生活アドバイスなどの情報を表示し、患者一人ひとりに向き合ったコミュニケーションをサポートする。また服薬指導中にタップした履歴は薬歴の下書きとして保存されるので、薬歴の制作作業は補足程度で済む。
その他、従業員の業務や店舗の収益といった経営データの見える化や、来客患者情報や在庫情報を活用したAIによる医薬品発注の最適化といった機能も搭載。
得られた成果
2022年9月時点で6,000店舗を超える薬局に導入されている。事務作業の効率化という観点では、導入後3ヶ月で60%効率化された薬局もあったとのことだ。
編集部コメント
薬局における業務の効率化と、患者とのコミュニケーションの活性化を支えるクラウドサービスの事例です。あたらしいサービス価値を提供したい、より高付加価値な業務に集中したいと考えたときに障壁となるのが、現状の業務に費やしているリソースです。本事例はそうした既存業務へのリソース配分を縮小させつつ、高付加価値な業務へのリソース転換を両立したモデルとして参考になります。