段階的なデジタル化で属人化を解消した梱包資材メーカー

企業名

株式市場

非上場

創業

1955年

従業員数

307人(連結:2022年4月時点)

資本金

5,000万円

売上高

主な事業

ポリエチレンフィルム製造・販売

※2023年4月時点/公式ホームページより引用

概要

  • アナログ業務に起因する属人化と業務効率の低さが課題
  • 段階的なクラウド化によって少しずつ範囲を広げていく
  • 労働時間や有給取得率が大幅改善し、過去最高の売上を記録

DXの動機・背景

船場化成株式会社は、ポリエチレンフィルムの製造と販売を行う企業である。納品スピードや価格、独自製品を含む2万を超える商品ラインナップなどに強みがあり、2010年以降の売上は右肩上がりだ。
しかし、2014年当時は手書きの書類の使用が主なアナログ状態だったうえ、情報を個人で管理していたことによる業務の属人化に起因する、業務効率の低下や残業・休日出勤の常態化、高い離職率といった課題も抱えていた。
そこで同社では、数段階にわけてデジタル化を進め、クラウド上で情報を一元化することで属人化を解消するとともに、業務の徹底した効率化を行うことを決断した。

経過・対応・取組内容

当初は全拠点の情報を1つのデータベースに集約して共有するシステムを構想したが、構築には1億円近い費用がかかるといわれ断念。そこで、「これまで手書きだったラベルをデータベース化する」という、簡単にできる部分からクラウド化を始めることにした。
その後は、基幹システムを30万円ほどで発注、製造指示書をクラウドデータベース化、システムに製造工程管理や勤怠管理を追加、製造掲示板を電子化と、段階を踏んで少しずつクラウド化する範囲を広げていった。

得られた成果

順番にクラウド化を進めていった結果、紙ベースだったものの9割がデータベース化され、情報共有や管理が格段にしやすくなった。
さらに、業務の6~7割が他の担当者でも引き継ぎ可能な状態になり、属人化はほぼ解消。残業時間は毎月20時間以下、有給取得日数は平均9日以上となったことから、労働環境の改善も進んだ。
そのほか、県外にある拠点の従業員とのやり取りがスムーズになったことや、業務効率化がなされたことで2022年決算期に過去最高の売上を記録したことなども成果といえる。

編集部コメント

はじめに構想していた大規模なシステムではなく、少額の投資によって業務効率化・売上アップに結びついた事例です。文字通りの“デジタルトランスフォーメーション”をいきなり実現しようとすれば、大規模かつ高額な投資になる場合もあります。紙のデジタル化、オンライン上での業務など段階的に進めることも必要です。

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