概要
- 金属加工に用いる機械の稼働状況をモニタリング、生産効率を改善
- 自社内で開発した一連のDXソリューションを外販
DXの動機・背景
製造業においては、生産能力の向上が常に経営課題として存在する。稼働時間の延長や外部へのアウトソースも含めて多くの企業が尽力しているが、高額の設備投資や残業時間の増加に繋がりかねないアプローチでは現実問題として限界がある。そうした中、愛知県で70年以上続く金属加工メーカーである久野金属工業株式会社は、IoTの活用によって生産効率を大きく向上させることに成功した。
経過・対応・取組内容
同社は自動化・IT化に業界でも早期に取り組んできた。生産効率の向上を目的として、近年では職人の勘や経験をセンサーによって可視化することで加工条件を適正化した。また加工機械の稼働状況をIoT機器によってモニタリングしPDCAサイクルを循環させることで、設備の稼働効率を最大化する取り組みを行った。
得られた成果
一連の取り組みによって生産効率は改善され、2017年のデータでは1ヶ月あたりの稼働率が26%向上したという。2018年からは、これらを製造業向けクラウドソリューション「IoT GO」として外部販売を開始し、その後製造現場だけでなく全業務の可視化を射程に入れた「IoT GO DX」の提供へと発展した。
編集部コメント
久野金属工業株式会社では1980年代にモニタリングのための設備を導入していましたが、すべての設備を網羅的に把握できるものではなかったことから新たなシステムに踏み切ったとのことです。生産性を向上させる上で、生産設備や人の投資よりもまず必要なのは現状の生産効率全体の把握です。そうしたボトルネックを改めて可視化するためのデータを収集するのに、センシングやIoTといったアプローチが有効に働いた事例と言えます。