概要
- 国内初のデジタルバンクである「みんなの銀行」をスタート
- デジタルネイティブ世代に向けてスマホ起点で考案されたUI/UX
- 既存の銀行システムを流用せず、ゼロからの構築によってスピーディにシステムを整備
DXの動機・背景
近年、銀行においても主たる顧客接点が、店舗窓口からオンラインバンキングサービスにシフトしつつある。また銀行業が今まで行っていた決済などの領域にテック企業が乗り出すようになり、デジタル化環境に適応した銀行のあり方が模索されている。
経過・対応・取組内容
株式会社ふくおかフィナンシャルグループでは、新しい形の銀行として2021年から傘下の子会社で”デジタルバンク”である「みんなの銀行」を開始した。“デジタルバンク”は既存の銀行業務をオンライン化したネットバンキングとは異なり、口座開設から入出金まで一連の銀行サービスが完全にオンライン上で完結する。
デジタルネイティブ世代に向けたデジタルバンクである「みんなの銀行」は、ターゲット層の習慣を前提にスマホ起点のUI/UXを設計し、銀行業務にまつわる煩わしさをいかに排除するかを重視して作られている。企画においては既存の銀行のプロセスを基にするのではなく、ユーザーにとってどうあるべきかがゼロベースで議論されたという。同様にシステムも、既存の銀行システムを流用せず独自に構築されており、勘定系システムとして国内初のパブリッククラウドを採用し、小さなシステムから拡大することでBaaS(Banking as a Service、銀行サービスを様々な企業・サービスに接続して組み込める提供の形)を目指した。
得られた成果
後発の銀行でありながら、サービス開始から約10ヶ月後の2022年3月時点にてアプリダウンロード数が88万、口座開設数が33万に達した。2022年11月には各社と共同開発した基幹システムの非金融事業者に向けた提供を開始し、BaaS構想に向けて着々と成長している。
編集部コメント
銀行はオンライン化、つまり既存プロセスの置き換えという観点では他業界に先駆けていました。一方で現在言われているデジタルトランスフォーメーション ― デジタルを起点としたビジネスや体験の設計という意味では出遅れているケースも少なくありません。これにはデジタルへの置き換えが早かっただけに、既存のシステム・プロセスの上に積み重ねてきたものが大きい、という理由もあります。本事例のようにゼロからの構築に踏み切るのは、こうした状況を打開するひとつの方策として参考になります。
参考・出典
- みんなの銀行(スマホ銀行)|デジタルバンクで価値あるつながりを
- ふくおかフィナンシャルグループ 総合報告書 2021
- 国内初のデジタルバンク『みんなの銀行』が目指す
新しい銀行のカタチ ー みんなの銀行 事業説明会 - みんなの銀行の基幹システムを開発するゼロバンク・デザインファクトリー、 フルクラウド型銀行システムの外部提供を開始|みんなの銀行
- みんなの銀行 公式note
- 新常識に挑む「みんなの銀行」の戦略。ネット銀行と異なるデジタルバンクとは | 記事 | HIP
- デジタルバンク第1号「みんなの銀行」頭取が明かす、アクセンチュアを選んだ理由 | 金融DX大戦 | ダイヤモンド・オンライン
- みんなの銀行:日本初の「デジタルバンク」として Google Cloud に勘定系を構築。Cloud Spanner で銀行基幹システムで求められる可用性を実現 | Google Cloud 公式ブログ