概要
- EC化により直接取引が増加、一方で業務の管理が煩雑化
- 受注管理システムによって業務情報の管理・共有を効率化
- 生産性の向上で売上を約3倍にまで増加させる
DXの動機・背景
株式会社タニハタは、日本の伝統木工技術である「組子」を利用した製品を手作業で製作している。90年代以降はインテリア製品の開発とEC化に取り組んだことで商業・宿泊施設からの注文が増えた。
しかし、ECによって従来にはない発注者との直接取引が増えたことで、情報共有や進捗管理が軋み始めた。当時利用していたシステムがこうした商流を想定しておらず、取引先とのメール履歴を追うことにも一苦労する状態であった。そこで同社が乗り出したのが、独自の受注管理システムの構築だ。
経過・対応・取組内容
構築したシステムでは、顧客を登録制にして顧客情報、受注履歴、プロジェクトをクラウド上で一元管理し、進捗状況や工程表などの情報を簡単に共有できるようにした。進捗状況報告においては、工程ごとの担当職人がタブレット端末で随時入力し、作業の進み具合をひと目で把握できるスタイルを導入。また、個々の案件をデータベース化することで受注管理の効率化を図った。
顧客とのやり取りはSNSのタイムライン形式で行い、複数の担当者による対応を可能にした。
得られた成果
システムを開発し改善していった結果、案件に携わるすべての担当者が顧客や案件の情報をスムーズに確認できるようになり、社内連絡ミス・連絡遅延ゼロを達成。納期を確実に守れるようになったため、顧客からの信用が高まった。システムへの登録数は8,000社近くにのぼり、売上は導入前と比べて約3倍増加。自己資本比率は、20%から80%に向上した。
こうした取り組みと成果が評価され、「全国中小企業クラウド実践大賞」の奨励賞を受賞している。
編集部コメント
近年ではD2C(Direct to Consumer)型のビジネスを行うメーカーも増加していますが、従来顧客と直接の取引を行っていない企業の場合、社内システムや業務フロー、あるいは現場社員のスキルが対応しきれていないケースも存在します。本件のような事例は、今後D2Cを検討する企業にとって大変参考になります。