概要
- 業務の属人化を防ぐ町工場向けの生産管理システムを開発
- 図面と加工工程を紐づけ、業務を効率化し完全週休二日を実現
- 自社開発した「エムネットくらうど」を町工場向けに外販
DXの動機・背景
日本ツクリダス株式会社は、金属加工を請け負う大阪府堺市の町工場。同社はクラウド化に積極的であり、「火災で図面が焼けてしまった際でも、データを残してあったため受注の把握ができた」という、代表取締役自身の過去の経験が根本にある。
規模の小さな町工場では、業務の属人化やアナログ作業が発生しやすいことがわかっていたため、創業当初からクラウド化の構想を立てており、生産管理システムの導入を検討していた。
しかし、製造業における生産管理システムのほとんどは大規模工場向けで、同社のような規模の小規模な工場には合わなかった。そのため、複数の段階を経ながら、町工場向けの生産管理システムの構築に取り組んだ。
経過・対応・取組内容
自社工場の生産管理のため、「エムネットくらうど」を開発。生産工程を一元管理し、簡単な操作でいつでも進捗状況を確認できるシステムだ。
「エムネットくらうど」の特徴は、図面1枚ごとの管理が可能なこと。同社では加工の一部を外注することがあり、外注する部分の図面単体にも必要な情報を紐付ける必要があったために搭載された機能だ。図面1枚に番号とバーコードを発行することで、その図面の工程に必要な情報を簡単に確認できる。
そのほか、「エムネットくらうど」を活用し、設備のメンテナンスのタイミングや営業者のオイル交換の時期、従業員の教育の進捗管理など、生産工程以外の部分の管理も集約した。
得られた成果
「エムネットくらうど」を導入した結果、顧客からの進捗に関する問い合わせに対してスピーディーな回答ができるようになり、顧客の満足度や信用度を高めることにつながった。
また、クラウド化による業務の効率化は、完全週休二日制を実現させた。情報共有もスムーズになり、特に指示がなくてもシステムを確認して従業員が動けるようになった。
こうした成功体験を受けて、同社では「エムネットくらうど」の外販を開始した。東北から九州まで115社が導入し、高い評価を受けている。
編集部コメント
本事例では自社開発の「エムネットくらうど」を中心に紹介しましたが、同社ではその他に、無料または低価格で利用できる各種のツールも導入しています。総じて、自社に本当に必要なスケール・機能はなにか過不足なく考えることが重要と思わされる事例です。